レバラン前後の人の移動が活発化、観光業回復に期待

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年05月19日

インドネシアにおいて、断食明け大祭(レバラン、2022年は5月2、3日)前後の人の移動が、前年の同期間中と比較して活発だったことが各種報道で明らかになった。

レバラン前後では例年、多くの人が帰省・旅行のための移動を行う。2021年には、政府は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、同期間中に厳しい移動制限を実施した(2021年4月19日記事参照)。しかし、2022年に関しては、ワクチン接種が3回完了している場合、PCR検査または迅速抗原検査の陰性証明の提示を不要とするなど、移動制限が大幅に緩和されていた(2022年4月7日記事参照)。

国営企業アンサカ・プラ1は、同社運営の国内東部15カ所の空港利用者数(4月25日~5月10日)が約248万人だったと発表した。2021年のレバラン前後における利用者数は約53万人で、前年比で4.6倍に増加した。利用者が特に多かったのは、スラバヤのジュアンダ国際空港(約55万人)、バリのングラ・ライ国際空港(約50万人)となっている(同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港の利用者数(4月22日~5月13日)は約250万人を記録した(「ビスニス」5月14日)。一方、インドネシア運輸省のノビエ・リヤント航空総局長は現地紙の取材に対し、「航空便の利用客数は、『新型コロナ禍』以前の水準にはいまだに戻っていない」と指摘する(「ビスニス」5月10日)。

また、レバラン期間中の国内ホテル稼働率は82%に達し、2021年の同期間中(43%)と比較すると、39ポイント上昇している(「コンパス」5月10日)。

インドネシア経済・金融開発研究所(INDEF)のアフマド・ヘリ・フィルダス研究員は「人の移動が一度始まると、観光業は急速に回復する」と指摘した上で、「今年のレバランが(観光業にとって)ターニングポイントになるのではないか」という見通しを示した(「ビスニス」5月5日)。

ジョコ・ウィドド大統領は5月17日、屋外活動でのマスクの着用を不要とし、海外からの旅行者もワクチン接種が完了していればPCR検査や迅速抗原検査を不要とすると発表した(大統領府ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)。本発表については詳細を待つ必要があるが、インドネシアの観光業のさらなる回復が期待される。

(注)5月18日現在、インドネシア入国に際し、出発2×24時間以内に検体採取されたPCR検査の陰性証明書を、空港検疫に提出する必要がある。

(上野渉)

(インドネシア)

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