2021年の電力状況、風力発電の設備容量が増大

(ベトナム)

ハノイ発

2022年03月31日

ベトナム電力総公社(EVN)傘下の国家電力調整センター(NLDC)によると、ベトナムの発電設備容量は2021年末時点で、前年比12.7%増の7万8,130メガワット(MW)だった。電源構成に占める再生可能エネルギーの割合は27%。2021年は太陽光発電の開発が落ち着いた一方、風力発電の設備容量が前年から約8倍に増大した。

電源構成のうち、上位は石炭火力発電(2万5,397MW)と水力発電(2万2,111MW)が占める(添付資料表1参照)。再生可能エネルギーは近年開発が進み、2万1,025MWまで拡大した。中でも、太陽光発電は屋根置きを含めると、1万6,564MWで、電源構成の21.2%を占める。太陽光発電の固定買い取り(FIT)価格の対象が2020年末までに商業運転を開始する事業と規定されていたため(2020年4月14日記事参照)、2020年まで大幅な伸びをみせた。しかし、2021年以降の買い取り価格に関する制度がいまだに決まっていないため、2021年の開発は停滞した。風力発電は4,136MWで全体の5.3%を占める。電源構成に占める割合は小さいが、前年から約8倍に拡大した。風力発電のFIT価格の対象は2021年10月末までに商業運転を開始する事業と規定されていたため(2018年9月25日記事参照)、2021年に急増した。

2021年の発電量(輸入を含む)は前年比7.7%増の25万6,731ギガワット時(GWh)だった(添付資料表2参照)。石炭火力発電は新規発電所の稼働が進んでおり、主力電源となっている。再生可能エネルギーは3万1,456GWhで、全体の12.3%にとどまるが、2016年から2021年にかけて86倍に増加している。

PDP8最終策定に向けて調整続く

ベトナム政府は2022年2月21日に第8次国家電力マスタープラン(PDP8)の最終策定に向けた会議を開き、商工省がとりまとめた草案を検討した。議長を務めたレ・バン・タイン副首相は同草案に基本的に同意する姿勢を示した。一方、開発計画における石炭火力から他電源への切り替えや、太陽光発電の割合減少、洋上風力発電の割合増加など、追加の調整を促した。また、仮に原子力発電を開発する場合を想定して、必要となる法規制や手続き、環境への影響について報告するよう指示した。

(庄浩充)

(ベトナム)

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