欧州産業連盟、EUレベルで協調した新型コロナ対策などを欧州理事会に要請

(EU)

ブリュッセル発

2021年12月17日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は12月16日、欧州理事会のシャルル・ミシェル常任議長に宛てた書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公開した。書簡は16日に開催された欧州理事会(EU首脳会議)を前に13日に発出された。ビジネスヨーロッパは新型コロナウイルス感染第4波について、経済回復やサプライチェーンに影響が及ぶことに懸念を示し、欧州委員会がEU加盟国に対して域内外からの移動について協調して対応するよう呼びかけた(2021年12月2日記事参照)ことを支持すると同時に、欧州理事会に対しては、(1)ワクチン接種が進んでいない加盟国への支援継続、(2)ブースター接種に関する協調した対応やワクチン接種証明書の有効期間について加盟国間での調整、(3)各加盟国が単一市場のモノやサービスの移動を阻害しかねない独自の移動規制を敷くことを回避するように求めた。

また、人の移動に関連して移民について触れ、移民の送り出し国と経由国とのよりよい調整を図ることへの支持を示した。その上で、違法移民の流入防止に加え、EUには域外国からの優秀な人材の確保に関する新たな経済移民政策枠組みが必要だと主張した。

「グローバル・ゲートウェイ」によるアフリカとの関係深化へ期待

ビジネスヨーロッパはEU域外向けの新たなインフラ支援戦略「グローバル・ゲートウェイ」(2021年12月3日記事参照)にも言及し、これを歓迎すると同時に、欧州理事会に対しても同戦略への強い支持を表明するように求めた。また、相互主義に基づいて参画しやすい具体的かつ戦略的な事業の早期実施が求められるとし、各事業を経済的に実行可能にし、民間投資を集めるにはビジネス界の構造的な参画が欠かせないとして、「ビジネス諮問グループ」の設置を歓迎し、協力する姿勢を示した。また、加盟国は同戦略の適切な実施のため、欧州一丸となって優先的に取り組む必要があると指摘した。

ビジネスヨーロッパは、「新型コロナ危機」を受けて、欧州企業のサプライチェーンの多元化を模索する動きが進み、EUにとって戦略的に重要な地域のアフリカ諸国・企業はEUとの貿易や投資を拡大させるチャンスとなると指摘。その際、「グローバル・ゲートウェイ」が中心的な役割を果たすべきであり、2022年2月にEU・アフリカサミットが開催されることから、欧州が「信頼できるパートナー」であることを示すため、事業をすぐにでも始めるべきだと主張した。

また、中国について、欧州理事会が同国と気候変動やデジタル、貿易分野で開かれた対話を継続することを求めた。対話を継続し、欧州と欧州ビジネス界の考えを中国に確実に伝えることが重要とし、両者が可能ならば2022年初頭にも首脳会談を実施しようとする動きがあることを歓迎した。

(滝澤祥子)

(EU)

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