8月の米失業率は8.4%、4月以降初の1桁台を記録

(米国)

ニューヨーク発

2020年09月07日

米国労働省が9月4日に発表した8月の失業率は8.4%(添付資料図、表1参照)と、市場予想(9.8%)を下回った。新型コロナウイルスの影響で統計開始(1948年)から最高水準となった4月の14.7%から初めて1桁台まで下がった。

失業者数が278万8,000人減少した一方で、就業者数が前月から375万6,000人増加した結果、失業率は前月(10.2%:2020年8月11日記事参照)から1.8ポイント低下した。労働省はプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で「失業率と失業者数のいずれも4カ月連続で減少したものの、2月と比較して失業率が4.9ポイント、失業者数は780万人多い」と指摘した。

失業者のうち、恒常的な失業者数は前月(287万7,000人)より53万4,000人増加して341万1,000人となった一方、一時解雇を理由とする失業者数は前月(922万5,000人)より306万5,000人減少して616万人となった。

労働参加率(注)は、働く意思のない非労働力人口が前月から78万3,000人減少し、就業者数と失業者数の合計値である労働力人口が前月から96万8,000人増加した結果、前月(61.4%)から0.3ポイント増加の61.7%となった。

こうした中、平均時給は29.47ドル(7月:29.36ドル)となり、前月比0.4%増(同:0.1%増)と2カ月連続で増加した。前年同月比でも4.7%増(同:4.7%増)となっている。

8月の非農業部門の雇用者数の前月差は137万1,000人増となったが、市場予想(140万人増)を下回るとともに、前月(173万4,000人増)より増加幅が縮小した。このうち、政府部門での増加のほとんどは2020年の国勢調査(センサス)のための一時的な雇用者23万8,000人が占めている。

7月から8月への雇用増減の内訳をみると、財部門が4万3,000人増で、うち製造業全体は2万9,000人増となる。輸送用機器(8,400人減)は減少したものの、金属加工製品(5,900人増)や家具等製品(5,700人増)で増加が見られた。サービス部門は98万4,000人増となり、増加幅の大きい業種では小売業(24万8,900人増)、対事業所サービス業(19万7,000人増)などが挙げられる(添付資料表2参照)。

ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者ライアン・スイート氏は「ここ数カ月で雇用の成長は緩やかになったもの、再雇用の動きが続いているとみられる」と、今回は手堅い結果と評価した一方、「財政刺激策がなければ、この動きを維持することは難しいだろう」と、政府と議会による追加の景気刺激策の必要性を指摘している(「ブルームバーグ」9月4日)。直近の景気対策としては、トランプ大統領が8月8日に大統領令などで失業保険の追加給付など限定的な措置を講じて以降(2020年8月11日記事参照)、共和党と民主党間での法案協議に目立った進展は見られていない。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(磯部真一)

(米国)

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