米国務省、非移民ビザに関する入国制限の例外措置を発表
(米国)
ニューヨーク発
2020年08月14日
米国国務省は8月12日、6月から2020年末にかけて施行している一部の非移民ビザによる外国人の入国停止・制限措置(2020年6月23日記事参照)について、国益に基づく例外規定に関するガイダンスを発表した。
非移民ビザに関する制限措置は6月22日に発表された大統領布告に基づき、米東部時間6月24日時点で米国外にいて、有効なビザ(または渡航許可)を保持していない外国人に対して、米国への入国とビザ発給を12月31日まで停止するもの。対象となるビザの種類は、H-1B、H-2B、L-1A、L-1B、J-1(注1)とそれぞれの帯同家族向けのビザとなる。ジェトロのアンケートでは、日系企業の駐在員1,400人超に影響が出るとの結果が出ており、各企業は特にLビザが対象に含まれた点に懸念を示している(2020年7月6日記事参照)。
今回の国務省による発表は、大統領布告のSec. 3(b)(iv)に記載している例外要件の1つ「米国の国益に資する」の定義をビザの類型ごとに列挙したもの。例えば、L-1Aに関しては、下記に該当する場合は例外とされる。
○公衆衛生・医療に関する調査・研究や新型コロナウイルスの影響緩和のための渡航。
○重要な外交政策上の目的や条約・契約上の義務を果たす目的のため、米国政府から要請を受けての渡航。
○同じポジション、企業、ビザ類型で、米国内で継続中の雇用を再開するビザ申請者の渡航。
○重要インフラ(注2)のニーズを満たす企業の重要な職責を担う上級レベルの幹部による渡航で、次の3点のうち最低2点を満たしている。
- 上級レベルの幹部
- 当該企業の海外拠点で複数年の勤務実績があり、雇用者が相当な財政負担をして集中的に訓練しなければ再現できない知識と専門性を有する
- 重要インフラのニーズを満たす企業の重要なビジネスニーズを満たす
ただし、当該ビザ申請者が米国に新しいオフィスを設立する場合は、直接または間接に5人以上の米国人労働者を雇用しなければ、この例外に該当し得ない。
米国の移民法弁護士によると、今回の例外規定に該当すると思われる者は各国の米国大使館・領事館にビザ面接の申請が可能になるとみられるが、最終的に例外として認められてビザが発給されるかどうかは、領事の判断になるとしている。
また、ジェトロの「6月22日に発令された大統領令の非移民ビザ申請者の入国停止措置に関するQ&A(米国)(249KB)」も参照のこと。
(注1)J-1に関して停止の対象となるのは、研修生(トレーニー)、インターン、サマーキャンプカウンセラー、教員、オペア、SWT(サマーワークトラベル)プログラム参加者のカテゴリーに該当する場合のみ。
(注2)国務省は重要なインフラには、化学、通信、ダム、防衛産業基盤、救急サービス、エネルギー、金融サービス、食品・農業、政府施設、医療・公衆衛生、情報技術、原子力発電、運輸、水道設備が含まれるとしている。
(磯部真一)
(米国)
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