米ロサンゼルス郡、抗議デモが飲食店などビジネス再開にも影響

(米国)

ロサンゼルス発

2020年06月03日

米ミネソタ州ミネアポリスで警官の暴行によりアフリカ系アメリカ人が死亡した事件をめぐり、抗議デモが全米主要都市に広がる中(2020年6月2日記事参照)、カリフォルニア州ロサンゼルス郡でも5月29日からロサンゼルス市役所や警察本部ビルが立地するダウンタウンで抗議デモが始まった。デモ隊の多くは行進やシュプレヒコールなど平和的に行動しているが、中にはデモに便乗して小売店や飲食店、宝石店の商品の略奪や放火を行うなど暴徒化する集団もみられた。

ABCニュースによると、小売店や飲食店、理容店が集まり、日系企業も多く進出するウェストハリウッドの近郊で開始された30日のデモには1万人が参加したが、暴徒化した一部の参加者が大型ショッピングモール「グローブ」内のアップルストアやアパレル店のウインドーを破壊し、略奪行為は高級ブティックが集まるビバリーヒルズまで及んだ。これまでの一連のデモの激化により、ロングビーチやサンタモニカのショッピング街でも被害が発生している。略奪を恐れた路面店は入口に板張りをするなど対応を急いでいる。

新型コロナウイルスの影響による約2カ月半の事業閉鎖や活動制限を経て、ロサンゼルス郡は5月末にはレストランの店内飲食などを再開したが(2020年6月3日記事参照)、事業者はデモの激化を受けた外出禁止令により新たな営業制限に直面している。

ロサンゼルス市は5月30日から夜間の外出禁止令を発令し、ロサンゼルス郡全域でも、31日午後6時から翌6月1日午前6時まで外出禁止令が発令された。同命令は6月1日および2日にも継続されている。外出禁止令はオレンジ郡やリバーサイド郡、サンバーナディーノ郡など南カリフォルニアの他郡にも広がっている。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は5月30日、ロサンゼルス郡とロサンゼルス市において非常事態を宣言し、同地域に1,000人の州兵を動員した。また、ロサンゼルス市のエリック・ガルセッテイ市長は6月1日の会見で、暴動による被害にあったビジネスへの支援策として「市の建物安全局は建物の安全性評価を無償で行うほか、修復に当たり市の認可が必要な場合は即日対応する。被害にあった事業者に対する資金援助を市議会に提案する」と述べた。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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