新型コロナウイルス新規感染者数、中国以外の国・地域で中国を上回る

(中国、世界)

中国北アジア課

2020年03月02日

世界保健機関(WHO)および中国の国家衛生健康委員会の発表によると、3月1日、新型コロナウイルスの新規感染者数は中国(香港、マカオを除く、以下同)で202人、中国以外の国・地域で1,161人となった(図参照)。2月26日に中国以外の新規感染者数が中国を初めて上回って以降、中国の国外で感染者が急増している。

こうした中、2月28日に記者会見を行ったWHOのテドロス事務局長は、新型コロナウイルスについて、世界的な危険度の評価を4段階のうち、上から2番目の「高い」から最高レベルの「非常に高い」に引き上げ、警鐘を鳴らした。

図 新型コロナウイルス新規感染者数(中国、中国以外の国・地域)

中国国外では、2月16日に新規感染者数が初めて100人を上回って以降、増加ペースが加速している。これまで感染が発生していなかったアイルランド、ニュージーランド、オランダ、ナイジェリアなどでも、新たな感染者が確認され、中国以外で感染が確認された国・地域数は、計61に上った。2002~2003年に発生したSARSの28カ国・地域を上回り、SARS以上に国境を越えた感染の広がりがみられる。

3月1日までの累計感染者数は中国以外で7,313人となり、100人以上の国・地域は韓国(3,736人)、イタリア(1,128人)、イラン(593人)、日本(239人)、シンガポール(102人)、フランス(100人)となったほか、クルーズ船「ダイアモンド・プリンセス」の感染者が705人だった。

新型コロナウイルスの累計感染者数を、SARS(中国で5,327人、中国以外で2,769人)と比較すると、中国では1月29日(午前0時時点)で既にSARSを超え、3月2日には8万26人と大幅に上回っている。一方、中国以外では、当初はSARSほどの感染者は確認されなかったが、2月26日にSARSの記録を抜いた。

中国は日韓からの渡航を厳格管理

中国国外における新型コロナウイルス感染者の増加を受け、中国では山東省威海市(2020年2月26日記事参照)や遼寧省瀋陽市(2020年2月27日記事参照)、四川省成都市(2020年2月28日記事参照)など各地で、日本や韓国など海外からの渡航者に対する入国管理を厳格化する動きが広がっている。

山東省威海市で日本や韓国などからの入国者を14日間隔離する措置について、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相が、これらは「過度な措置」だとして中国側に改善を求めた。しかし、中国の環球時報の社説では、「これは外交問題ではなく、防疫の問題だ」とし、「威海市だけでなく、中国各地で人民の安全を第一とし、韓国・日本など感染が深刻な国から来た全ての人には隔離を行うべきだ」と主張した。また、「湖北省以外の地域で感染防止に成功したのは決して簡単なことでなく、中国人民は代償を支払い、中国経済には膨大な損失が生じた。今後もこの防疫を揺るぎないものにすることは中国人民の強い要求だ」として、厳しく入国管理を行っていく姿勢が示された(「環球時報」2月26日)。

(森詩織)

(中国、世界)

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