新型コロナウイルスによる企業の経営破綻回避のため大型融資支援を決定

(ドイツ)

ベルリン発

2020年03月18日

オラフ・ショルツ財務相とペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は3月13日、新型コロナウイルス危機に対する連邦政府による緊急対策パッケージ(2020年3月13日記事参照)の詳細を発表した。短時間労働給付金制度の柔軟性向上のほか、税関連の流動性(資金繰り)支援と、4,600億ユーロ規模の企業向け緊急融資の具体的な内容、および欧州の結束強化が示された。

税関係の措置として、企業の資金繰りを支援するため、納税が困難な納税者は納税延期、前年比で減収が見込まれる場合は前納金額の減額が可能になり、新型コロナウイルス感染拡大の直接的な影響を受けているケースでは、関連書類の提出遅れや税納付の遅延による延滞金や制裁措置の適用を2020年12月31日まで保留する。

サプライチェーンの混乱や需要の大幅減少に伴う売上減少が見込まれる一方で、事業運営コストの削減は困難であり、健全な企業が財政難に陥る状況を回避するために緊急融資を提供する。連邦政府の支援により、国営金融機関のドイツ復興金融公庫(KfW外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は4,600億ユーロの信用保証枠を設定、企業は取引銀行を通じて申請する。企業の創業年数や売上高に応じて事業運転資金の融資プログラムが用意され、信用リスク評価の基準緩和や、年間売上高が最大20億ユーロ(以前は5億ユーロ)の大企業も対象とするなど、幅広い事業者による融資へのアクセスを可能とした。連邦政府が指定する保証銀行においても、保証金額が125万ユーロから250万ユーロに増額され、保証において連邦政府が負うリスクシェアを10%拡大するなどの措置がとられる。

さらにショルツ財務相とアルトマイヤー経済・エネルギー相は、欧州レベルでの協調的かつ決定的な行動を提唱した。欧州のパートナー国との緊密な協議により、新型コロナウイルスの対応を進める。欧州委員会が提案した250億ユーロ規模の「コロナ対策投資イニシアチブ」も歓迎した(2020年3月13日付記事参照)

ドイツ産業連盟(BDI)のディーター・ケンプ会長は「発表されたパッケージには、現在および今後の課題に対する多くの要素が含まれている。企業のあらゆる資金調達問題に対処することが期待される。政府が支援のための予算上限を無制限としたことは賞賛に値する。納税期限の延長と延滞金免除等の対応も歓迎する」として、政府の対応を評価している。

(中村容子)

(ドイツ)

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