米財務省、外国投資リスク審査現代化法の規則案を発表

(米国)

ニューヨーク発

2019年09月18日

米財務省は9月17日、外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)の規則案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。財務省は、10月17日を期限に規則案に対するパブリックコメントを募集し、2020年2月13日までに最終規則を施行させる。スティーブン・ムニューシン財務長官は「今日発表した規則案は、一定の外国投資から生じる国家安全保障上のリスクに対応するための対米外国投資委員会(CFIUS)の拡充された権限について、投資家に対して透明性と確実性を与えるとともに、CFIUSのプロセスを現代化する」と強調している。

審査対象取引を非支配的な投資にも拡大

財務省が発表した規則案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、FIRRMAは審査対象とする取引を、外国人による米国事業への支配的な投資のみならず、非支配的な投資(Non-Controlling Investments)にも拡大するとし、それらには次の事項を可能にする取引が含まれるとしている。

  • 米国事業が保有している重要な非公開の技術情報へのアクセス
  • 米国事業の取締役会または同様の組織体の構成員またはオブザーバーとなる、もしくは構成員を推薦する権利
  • 重要技術、重要インフラ、もしくはセンシティブな個人データに関わる米国事業の実質的な意思決定への関与(ただし、株式の議決権行使は除く)

財務省は、これら新たな対象分野の取引にかかる審査は、ほとんどが任意の届け出によるとしているが、外国政府が重大な関心を有する案件など、一定の条件を満たすものは、届け出を義務としている。他方で財務省は、今後、別途指定する「除外された外国」とつながりを有する外国人で、特定の法制度を順守している外国人については、「除外された投資家」として審査の対象外にするとしている。ただし、米国事業への支配的な投資の場合は、この例外措置は適用されない。

財務省は、今回の規則案は、既に運用されている重要技術に関するパイロットプログラム(2018年10月16日記事参照)に変更を加えることはないとし、引き続き同プログラムの運用実績を評価していくとしている。

一定の条件を満たす不動産取引も審査対象に

財務省は、以下に関わる米国の民間・公共の不動産を、外国人に売却、貸与、譲渡する取引に関しても新たに審査対象にするPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)としている。

  • 空港、港湾、それらの中に存在、またはそれらの一部として機能する不動産
  • 指定される米国の軍事施設に近接する〔1マイル(約1.6キロ)以内〕不動産
  • 指定される米国の軍事施設から一定の範囲内にある(1マイルから100マイルの範囲)不動産
  • 沖合も含む、ミサイル場が含まれる一定の地理的地区に存在する不動産

財務省は、不動産取引の審査に関しては、義務的な届け出はなく、全て任意によるとしている。商務省センサス局が定義する都市部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに所在する不動産、家屋、商用不動産については、原則、審査対象外としている。また、米国事業への非支配的な投資と同様に、今後指定する外国(除外不動産国)とつながりを有しており、特定の法制度を順守している場合は、審査対象外とする例外措置を設けるとしている。

本規則案に対するパブリックコメントを提出する場合は10月17日までに、連邦政府のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますか、次の宛先まで郵送することになっている。

U.S. Department of the Treasury,

Attention: Thomas Feddo, Assistant Secretary for Investment Security,

1500 Pennsylvania Avenue, NW, Washington, DC 20220

(注)FIRRMAの概要については、2019年8月9日記事参照

(磯部真一)

(米国)

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