青森県産リンゴ、フィリピン最大のスーパーで販売開始

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月05日

日本農業(2016年設立)が輸出した青森県産リンゴが、フィリピンで最大数の店舗を有するSMスーパーマーケットや高級スーパーマーケット14店舗で販売されている。同社は、自社園地での生産や、契約農家・地元市場から仕入れた日本産のリンゴを自社ブランド「Essence」としてタイ、インドネシアなどに輸出販売しており、富裕層の拡大が見込まれるフィリピンでの販路拡大にも挑む。

日本からフィリピンに輸出できる青果物は、現状、植物検疫の条件が整備されたリンゴとナシ(HSコード0808)のみだ。フィリピンのリンゴ・ナシの輸入額の上位4カ国の国別推移(表参照)をみると、中国からの輸入が他国と比べても多い。日本産のリンゴは他国産より高額なため、フィリピンでは年末年始の短期間に、富裕層向けの贈答用として、少量の赤リンゴが販売されてきた。

表 リンゴ・ナシのフィリピン輸入額の国別推移(上位4カ国)

同社が今回輸出した品種はトキという黄色リンゴで、酸味が弱く甘味があり、他品種より出荷時期が10月から11月と早いのが特徴。同社海外営業部カントリーマネジャーの多々良大吾氏は、「トキは、フィリピン人に好まれる味で、出荷時期が早い。トキを11月から販売すれば、同業者に先んじて売り場の棚を確保できると考え、フィリピンへの輸出を決断した」と話す。売り込み開始当初は、バイヤーから、トキでなく、既にフィリピンに流通している赤リンゴの短期間での販売を求められたが、トキの味の良さをアピールすると同時に、トキの出荷時期後に赤リンゴも継続的に納品すると説得することで、販路開拓を進めた。SMスーパーマーケットでの販売価格は、米国産や中国産の約4倍の125ペソ(約263円、1ペソ=約2.1円)だが、ほかの得意先を含め、2週間で432ケース約4,320キロを完売した。

また、同氏は「トキのSMスーパーマーケットの取り扱い店舗は、現在の10店舗から12店舗に拡大する。他品種も輸入しながら2020年5月ごろまで販売を継続し、同スーパーマーケット40店舗での取り扱いを目指す」と語った。

写真 海外営業部カントリーマネジャーの多々良大吾氏(ジェトロ撮影)

海外営業部カントリーマネジャーの多々良大吾氏(ジェトロ撮影)

写真 売り場の様子(ジェトロ撮影)

売り場の様子(ジェトロ撮影)

(石見彩)

(フィリピン)

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