脱税防止のため酒類・たばこの納税印紙刷新へ

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月12日

フィリピンで、酒類やたばこ製品の物品税の脱税を防止するため、内国歳入庁(BIR)がパッケージへの貼付を義務化している納税印紙を刷新する。12月1日付の「デイリー・インクワイアー」など地元各紙が報じた。

BIRは現在、物品税を納付したことを証明する納税印紙の貼付を義務化しているが、税金の支払いを逃れるために偽造や使い回しが後を絶たないとし、偽造や使い回しができない新しい納税印紙を作成するとした。

BIRのマリッサ・カブレロス副局長は、現在の納税印紙は容易に偽造でき、脱税防止の目的を果たせていないとし、高度な偽造防止機能を備えた新しい納税印紙の開発を進めていると説明した。フィリピンでは以前、たばこ製造業界大手が偽造印紙を製品に貼付して刑事告発され、多額の罰金の支払いを命じられた事件が発生。その後も同様の事件は続いている。

フィリピン政府は国民の健康増進の観点からも取り締まりを急ぐ。ドゥテルテ大統領は2019年2月、全国民をフィリピン医療保障公社(フィルヘルス)の健康保険に加入させ、国民皆保険制度(ユニバーサルヘルスケア)を実現するためのユニバーサルヘルスケア法に署名した。上院で現在審議されている酒類と電子たばこ製品の物品税増税法案は、2020年から2024年までの5年間で3,569億ペソ(約7,495億円、1ペソ=約2.1円)の財源を創出し、591億ペソ不足しているとされる国民皆保険制度の予算に充当する。

世界保健機関(WHO)などの国連機関は10月、たばこやアルコール飲料、過剰な塩分を含む食品の消費を削減するため、フィリピン政府が今後15年で総額289億ペソの投資を行えば、3,777億ペソの経済効果を捻出できると発表した。ドゥテルテ大統領は11月、電子たばこの輸入と、国内の公共の場所での使用を禁止する大統領令を発出すると発表した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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