再燃が懸念される水不足、政府は水資源管理省設立へ

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月21日

フィリピンで3月からマニラ首都圏を中心に深刻化していた水不足問題(2019年4月26日記事参照)は、雨季が始まった6月以降、改善の兆しを見せているが、乾季に入る11月から再燃する恐れが生じている。

マニラ首都圏の需要量の日量17億4,000万リットルに対して、マニラ首都圏の水がめであり、供給のほぼ全てを依存するブラカン州アンガットダムの供給量が2019年の乾季に日量16億リットルと需要量を下回り、首都圏で最長12時間の計画断水が実施されるなど、日常生活や企業活動に支障を来した。これを受けて政府は、新規のダム開発やラグナ湖の水源としての活用などを模索しているが、11月からの乾季までに間に合わない見込みだ。

ドゥテルテ大統領は7月に行った施政方針演説(SONA)で、水資源管理省の設立の必要性を訴えた。サルセダ下院歳入委員長は10月7日、同省の設立法案を下院で2020年1月までに可決させると発表した。

政府は4月、マニラ首都圏東部の水道事業を請け負うマニラウォーターに対して、水供給不足の予測や対応が遅れたことを理由に、11億3,400万ペソ(約23億8,140万円、1ペソ=約2.1円)の罰金を科し、国民への返金や新たな水源開発を命じた。8月にマニラウォーター社長を退任したデラ・クルーズ氏は地元メディアに対して、「供給側だけではなく、需要側の地方公共団体や国民レベルでも努力してもらう必要がある」と主張した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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