首都圏外に広がるBPO業界、2021年以降の首都圏オフィス需要は減少か

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月30日

フィリピンの不動産コンサルティング会社大手サントス・ナイト・フランクは10月2日、ドゥテルテ大統領が6月に発出したマニラ首都圏での経済特区新設停止を命じる行政命令(2019年9月10日記事参照)の影響で、2021年にはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界による首都圏のオフィス需要は減少し始めるとの予測を発表した。

同社のモーガン・ギルブレイ氏は地元メディアに対して、マニラ首都圏での経済特区新設停止命令の発出前に申請された22のITパークの設立申請が承認されれば、一定期間の需要を満たすことは可能としながらも、「2021年以降、首都圏内のオフィス供給は需要を満たすことができなくなり、高騰するオフィス賃料も影響して、BPO企業は首都圏外での設立、移転を進めるだろう」と説明した。

ギルブレイ氏はさらに、「既にメガワールド、ロビンソンズ・ランド、アヤラ・ランドといった国内最大手のデベロッパーはクラーク、バギオ、ナガ、イロイロ、セブ、バコロド、プエルト・プリンセサ、ダバオといった首都圏外の地方都市でのオフィスビル開発を進めており、多くのBPO企業が関心を持っている」と述べた。

現在、国内に278カ所存在するITパークのうち、6割の167カ所が、通信環境が比較的整っているマニラ首都圏に立地している。また、同氏によると、首都圏の平均オフィス賃料は平方メートル単価1,100ペソ(約2,310円、1ペソ=約2.1円)と、アジア大洋州地域で最も高い地域の1つとなっているが、国内の大手デベロッパーが開発を進める上述の地方都市の平均オフィス賃料は同350ペソから550ペソだという。

ギルブレイ氏は、BPO業界の現在の直接雇用者数は130万人、間接雇用者数は410万人、うち32万5,000人の直接雇用は地方で創出されているとし、2022年には地方での直接雇用者数は50万人まで増加するとみている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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