一時輸入制度:EU

質問

EUにおける展示会出品貨物・商品サンプル・職業用具の一時輸入制度について教えてください。ATAカルネの利用が可能か、またカルネを使用しない一時輸入制度について教えてください。

回答

展示会出品貨物、サンプル品、職業貨物などをEU域外から持ち込む場合には、一時輸入制度を使うことで関税およびVATを支払わずにEU域内へ一時輸入することができます。ただし、一時輸入後にEU域内において、当該物品に一切の加工などをしないこと、およびEU域外へ向けて再輸出されることが条件です。

I. 一時輸入の方法

  1. 口頭による申告
    出張者が展示会出品貨物、職業用具などの携行品を申告する場合、原則として、口頭による簡易申告が認められます。その場合、一時輸入する物品リストの提出が求められます。物品リストは輸入地の税関の書式によりますが、一時輸入の目的(展示会出品など)、期間、物品の明細などを記入する必要があります。
  2. 申請書提出による申告
    輸入地の税関に一時輸入申請書を提出します。申請書は、輸入地の税関より入手しますが、一時輸入の目的の詳細、対象物品の明細などが求められます。
  3. ATAカルネによる方法
    展示会出品貨物、職業用具などをEUに持ち込み、1年以内に日本に持ち帰る場合は、ATAカルネによる一時輸入制度を利用することができます。あらかじめ日本商事仲裁協会よりATAカルネを入手します。輸入地では、提示されたカルネに税関の許可スタンプが押されます。ATAカルネの詳細についてはジェトロ貿易投資相談Q&A「ATAカルネにより通関手続きを簡便にする方法」をご参照下さい。

    ジェトロ貿易投資相談Q&A「ATAカルネにより通関手続きを簡便にする方法

II. 免税扱いとなる商品サンプル

商品サンプルで次のものは一時輸入扱いではなく免税扱いとなります。

  1. 販売促進用に使用される少額サンプルで、穴を開けるなどの方法で恒常的に使用できなくされた物品など。
  2. 見本市に展示される物品で、EU域外で製造された商品の小見本、あるいは見本市において消費されるか破棄される物品。

III. 担保について

上述Iの口頭による申告と申請書提出による申告の場合、関税およびVATに相当する担保を税関に支払うよう求められます。ATAカルネを利用する場合には、日本で担保を提供しているので、EU輸入時に担保を要求されることはありません。

IV. 期限

一時輸入の期限は、原則24カ月です。特別の理由がある場合には、延長が認められる場合があります。 ATAカルネを利用する場合には、カルネの有効期限(発給日から最長1年間)が適用されます。

V. 再輸出時の手続き

再輸出地の税関にて、一時輸入時の書類(申請書、物品リスト等)と当該物品を提示し、物品の同一性が確認されると、預けられた担保金が返金されます。
ATAカルネを利用する場合には、ATAカルネの再輸出の項目に税関の許可スタンプが押されます。

関係機関

調査時点:2017年3月
最終更新:2024年6月

記事番号: N-110219

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