Section2
1.3 設立登記手続き
1.3.1 支店の設立登記
支店の設置を法務局で登記することにより、支店の営業活動を開始することができますが、外国企業の支店は、その外国企業に最も形態が類似する日本法人の登記要件に準じて登記することが求められています。最も形態が類似する日本法人を選び、その日本法人の登記すべき事項を整理するために、外国企業の定款、設立証明書、登記証明書などの文書を参照して検討することになります。これらの事項に加え、会社法第 933 条により規定される外国会社特有の登記事項(具体的には支店の所在地、日本における代表者、支店設置日、貸借対照表の公告方法など)を決定すれば登記すべき事項を確定することができます。
なお、支店の設置登記申請時には、登記事項についての証明文書を提出する必要がありますが、この証明文書は外国企業の本国の然るべき権限を持つ機関により発行された文書でなければなりません。これらの証明文書に代えて、外国企業の本国の公証人等、在日大使館領事等により認証された登記事項についての「宣誓供述書」の活用が便利です。*1 実際に必要な書類は、個々の会社毎に判断されます。本国で発行された外国語の証明文書を登記申請に使用する場合、登記申請に必要な部分については、日本語訳を提出します。*2
支店設置手続きの一般的な流れ
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1
業種によっては、日本銀行へ支店設置の事前届出
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2
支店登記事項の整理
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3.
法務局において同一商号の調査
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4
支店の設置(支店設置日は任意の日付を選択可能)
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5
支店の設置に関する宣誓供述書の作成
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6
外国企業の本国の公証人等、在日大使館の領事等による宣誓供述書の認証*3
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7
法務局へ支店設置登記申請、法務局へ会社印鑑を届出
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8
登記事項証明書及び会社印鑑証明書の取得(登記申請の約 2 週間後)
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9
銀行で支店名義の口座の開設
-
※
所要期間:支店登記事項決定後約 1 ヵ月程度
-
*1
宣誓供述書のサンプルは、法務省の 「7-1外国会社の日本における代表者選任登記申請書(R3.2.15更新)」 (261KB)の8頁を参照してください。
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*2
登記申請に関する内容以外の部分等について、翻訳の一部を省略できることがあります。詳細は法務省の「商業登記の申請書に添付される 外国語で作成された書面の翻訳について」のウェブサイトを参照してください。
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*3
在日大使館が日本国内でこのような内容の認証を行わない場合は、本国の公証人等による認証が必要。
1.3.2 子会社(日本法人)の設立登記
子会社(日本法人)は、法務局に登記することにより設立します。登記申請の日が設立日になり、この日から営業活動を行うことができます。子会社(日本法人)設立手続のために必要となる書類の中で、外国企業の本国において準備すべき書類がいくつかあります。外国企業の概要を証明する書類、外国企業代表者の代表権限を証明する書類、外国企業代表者の署名の真正を証明する書類、子会社(日本法人)の役員などに就任する人(もし有れば)の署名証明書などです。
通常は、外国企業の定款、設立証明書、登記証明書などの公的文書や外国企業本国の公証人により認証された「宣誓供述書」、「署名証明書」などが利用されます。これらは日本において子会社(日本法人)の定款の認証手続をする際に必要となります。また、金融機関に対して、子会社(日本法人)の資本金の保管と保管証明書の発行を依頼する際に、外国会社が子会社(日本法人)の設立を決定したことを証する書類が必要になる場合もあります。資本金保管証明書は、依頼した金融機関が指定する特別口座に子会社(日本法人)の資本金全額を送金すると、その金融機関から発行される証明書です。なお、認証された定款も資本金保管証明書も、設立登記申請時に必要な書類になることがあります。実際に必要な書類は、個々の会社毎に判断されます。
子会社(日本法人)設立手続きの一般的な流れ(株式会社)
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1
株式会社設立概要の決定*1
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2
法務局において同一商号の調査
-
3.
株式会社の定款作成・実質的支配者となるべき者の申告の準備
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4
親会社の登記証明書等の取得及び親会社の概要に関する宣誓供述書、親会社代表者のサインに関する宣誓供述書の準備(宣誓供述書については、本国公証人による認証が必要)*2
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5
株式会社定款*3 の日本の公証人による認証・実質的支配者となるべき者の申告受理
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6
(銀行への資本金保管及び保管証明書発行の申込み:募集設立の場合)*4
-
7
発起人または設立時の代表取締役もしくは取締役の口座へ株式会社の資本金を送金*5*6*7
(銀行の特別口座へ株式会社の資本金を送金:募集設立の場合)*8
-
8
取締役、代表取締役及び監査役等の役員の選任
-
9
取締役及び監査役による設立手続の適法性の調査
-
10
法務局へ株式会社設立登記申請(株式会社設立日)*9、法務局へ会社印鑑を届出*10
-
11
登記事項証明書及び会社印鑑証明書の取得(登記申請の 4 日後から約 2 週間後)*11*12
-
12
銀行での会社名義の口座の開設
-
13
日本銀行への株式取得の報告(業種によっては会社設立の前に届け出る必要あり)
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※
所要期間:会社設立概要決定後約 2 ヵ月程度
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*1
決定すべき設立概要は、商号、本店所在地、事業目的、事業年度、資本金の額、株式の発行価額、株式譲渡制限規定の設定の有無、取締 役会の設置の有無、取締役及び代表取締役、取締役の任期、出資者及びその出資額などである。
-
*2
日本に住所を置く個人または法人が株式会社設立発起人となり、外国企業が株式会社の設立時、株式の引受人となる場合(これを募集設立とい う)には、かかる親会社についての宣誓供述書が不要となることがある。ただし、6.*4 を参照。
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*3
外国人、外国法人の代表者等が定款等の数頁にわたる書類に署名する場合、契印、割サイン、袋とじにサインする、余白にサインする(またはイニシ ャルを記入する)方法が可能。
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*4
株式会社の設立方法として募集設立と発起設立があり、一般的に手続が簡素な発起設立が好まれる。6.及び 7.の ( ) 内のように、募集設立では、 発起人及び設立時の株式の引受人双方の払込金額について、銀行の資本金保管証明書が必要になる。
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*5
払込に利用する口座は、日本の銀行の日本国内の本支店、日本の銀行の海外支店、外国銀行の日本国内の支店のいずれかに開設された口座 であればよい。
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*6
払込に利用することができる口座を開設している個人または法人と共同出資して株式会社を設立する場合(これを発起設立という。出資者が単独 の場合を含む。)、共同出資者の名義の銀行口座に資本金を払い込み、株式会社の代表取締役が作成する資本金全額の払込みのあったことを 証する書面とその口座の預金通帳のコピー、ネットバンキングの取引明細等を提出すれば足りる(銀行の資本金保管証明書は不要)。
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*7
発起人、代表取締役、取締役の全員が海外に住所を置く場合、発起人は、これらの者以外の第三者に資本金の払込を受けることを委任すること ができる。この方法をとる場合、株式会社の代表取締役が作成する資本金全額の払込みのあったことを証する書面、払込金の受領に関する発起人 から第三者への委任状、第三者の名義の口座の預金通帳のコピー等が必要になる(銀行の資本金保管証明書は不要)。
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*8
発起設立の場合でも、銀行の特別口座へ送金する方法を選択することは可能だが、実際にはほとんど利用されない。理由としては、銀行の資本金 保管証明書の手数料が高額なこと、既存の取引実績がないと、銀行は特別口座を開設しない場合が多いことがあげられる。
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*9
募集設立または発起設立により、外国企業が日本に住所を置く個人または法人と共同して株式会社を設立すると、当該個人または法人と外国企 業が設立時の株式を持ち合うことになる。設立後、外国企業が当該個人または法人の保有株式を譲り受けることにより、株式会社を外国企業の 100%子会社にすることができる。
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*10
海外に在住する外国人が取締役、代表取締役、代表執行役になるために、その外国人の署名証明書が必要になることがある。例えば B 国に在住 するA 国人は、(1)A 国の行政機関、公証人、(2)B 国駐在の A 国領事、(3)日本駐在の A 国領事が認証する宣誓供述書を署名証明書とすること ができる。(一定の場合、B 国の公証人または日本の公証人が認証した証明書が認められることがある)。
-
*11
2018 年 3 月 12 日から、株式会社及び合同会社の設立登記に限り、他の登記申請よりも優先的に処理するファストトラック化が開始。登記申請 件数の多い時期等を除き、申請の受付日(オンライン申請し別送書類がある場合は、全ての書面が登記所に到達した日)の翌日から起算し、原則 3 執務日目までに完了されることとなった。
-
*12
2020年3月17日(火)から、一定の条件を満たした完全オンラインによる設立登記申請については、24時間以内処理が開始された。(法務省ウェブサイト)
詳細については、以下のウェブサイトを参照ください。
子会社(日本法人)設立手続きの一般的な流れ(合同会社)
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1
合同会社設立概要の決定*1
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2
法務局において同一商号の調査
-
3.
社員(出資者)についての証明書の取得(外国法人・外国在住者の場合、本国において):
社員となる会社の登記証明書等の取得ならびに社員となる会社の概要に関する宣誓供述書、社員となる会社代表者のサインに関する宣誓供述書の準備 (宣誓供述書については、本国公証人による認証が必要)
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4
社員(出資者)についての証明書の取得(日本法人・日本在住者の場合、日本において):
社員となる会社の登記証明書の取得、社員となる個人/会社の印鑑証明書の取得
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5
合同会社の定款作成*2
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6
社員による定款で定められた出資金の払込み(社員の銀行口座へ)
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7
法務局へ合同会社設立登記申請(合同会社設立日)、法務局へ会社印鑑の届出
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8
登記事項証明書及び会社印鑑証明書の取得(登記申請の 4 日後から約 2 週間後)*3*4
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9
銀行での会社名義の口座の開設
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10
日本銀行への持分取得の届出(業種によっては会社設立の前に届け出る必要あり)
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※
所要期間:会社設立概要決定後約 1 ヵ月程度
-
*1
決定すべき設立概要は、商号、本店所在地、事業目的、事業年度、資本金の額、社員及びその出資額、代表社員、職務執行者(業務執行社員が法人の場合)など。
-
*2
外国人、外国法人の代表者等が定款等の数頁にわたる書類に署名する場合、契印、割サイン、袋とじにサインする、余白にサインする(またはイニシャルを記入する)方法が可能。
-
*3
2018 年 3 月 12 日から、株式会社及び合同会社の設立登記に限り、他の登記申請よりも優先的に処理するファストトラック化が開始。登記申請件数の多い時期等を除き、申請の受付日(オンライン申請し別送書類がある場合は、全ての書面が登記所に到達した日)の翌日から起算し、原則3 執務日目までに完了されることとなった。
-
*4
2020年3月17日(火)から、一定の条件を満たした完全オンラインによる設立登記申請については、24時間以内処理が開始された。(法務省ウェブサイト)
詳細については、以下のウェブサイトを参照ください。
会社設立の手続き パンフレット
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Section 1:株式、持分等の取得に関する届出・報告
Section | 事前届出・事後報告の対象 | 説明箇所 | 管轄省庁等 |
---|---|---|---|
1-3 |
事前届出を必要とする業種 ※国の安全、公の秩序、公衆の安全の観点から定められたもの |
対内直接投資審査制度について→関連法令→指定業種を定める告示→別表第一 | 財務省 |
1-3 |
事前届出を必要とする業種 ※わが国経済の円滑運営の観点から定められたもの |
対内直接投資審査制度について→関連法令→指定業種を定める告示→別表第二 | 財務省 |
1-3 | 事後の報告を必要とする業種 | 対内直接投資審査制度について→関連法令→指定業種を定める告示→別表第三 | 財務省 |
1-3 | 事前届出対象外の国・地域一覧 | 外為法の報告書についてよく寄せられる質問と回答→【参考資料2】掲載国 | 日本銀行国際局 |
Section 1:登記 各種申請書類
Section | 申請書式名 | 申請書式掲載箇所 | 管轄省庁等 |
---|---|---|---|
1-2 |
株式会社の定款記載例2(中小規模の会社) ※非公開、取締役1名以上、取締役会費設置、監査役非接地会社 |
定款の記載例→株式会社の定款→2 中小規模の会社 | 日本公証人連合会公証役場 |
1-2 | 実質的支配者となるべき者の申告書(株式会社用) | 公証事務 9-4 定款認証→実質的支配者となるべき者の申告書→株式会社用 | 日本公証人連合会 |
1-3 | 株式、持分、議決権若しくは議決権行使等の権限の取得又は株式への一任運用に関する報告書 | 報告書様式および記入の手引等(2014年以降適用)→6. 外為法第55条の5、6および8に係る→対内直接投資等・特定取得、技術導入→直投命令第6条の2、第6条の3、第7条に基づく報告→様式11(直投命令) | 日本銀行国際局国際収支課 |
1-3 | 宣誓供述書 | 第7 外国会社→7-2外国会社の営業所設置登記申請書→記載例 8頁 | 法務省民事局 |
1-3 | 株式会社設立登記申請書 | 第1 株式会社→1 設立→1-3株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)→ 記載例 | 法務省民事局 |
1-3 | 印鑑(改印)届書 | 第8 印鑑届書→8-1 印鑑届書(株式会社・記載例) | 法務省民事局 |
1-3 | 外国会社営業所設置登記申請書 | 第7 外国会社→7-2外国会社の営業所設置登記申請書→記載例 | 法務省民事局 |
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