米メリーランド州セミナー、ライフサイエンスや量子技術が強みと知事アピール
(米国)
調査部米州課
2025年04月16日
ジェトロは4月14日、米国メリーランド州のビジネス・投資環境を紹介するセミナーを東京で開催した。同州のウェス・ムーア知事(民主党)やジェトロの石黒憲彦理事長らが登壇した。会場には米国でのビジネス展開に関心を持つ日本企業など約80人が参加した。
開会あいさつで、石黒理事長はメリーランド州について、全米有数の経済規模を誇ると紹介し、高い所得水準や陸路、空路、水路で発達した物流インフラなど同州の魅力に触れた上で、「米国進出や米国企業との協業連携では、ムーア知事率いる州政府との連携が重要」と強調した(注)。
ムーア知事は基調講演で、ITやライフサイエンス、量子技術、人工知能(AI)、航空宇宙・防衛といった同州の主要産業をアピールした。日本との関係については、日本は同州にとって世界第2位の貿易相手国だと述べ、「メリーランド州に進出する日系企業は5,000人近い雇用を創出している」と、同州の経済における重要性を指摘した。さらに、同州には約1万7,000人の日系米国人が居住することや、日本から多くの観光客を受け入れていることにも触れて、経済分野にとどまらない日本との友好的な関係を説明し、「今後も長期的な協力関係の構築を目指す」とした。
講演するメリーランド州のムーア知事(ジェトロ撮影)
同州政府のリカルド・ベン商務副長官は、全米で最も理学や工学系の学生の博士課程在籍者が集中する同州の教育水準の高さや、米国中西部へのアクセスも良好なボルチモア港を持つ地理的優位性、多様性・包摂性の意識が根づく文化など、同州のビジネス環境の強みを紹介した。
セミナーでは、同州に拠点を持つ日系企業の講演も行われた。テルモの卜部健治氏は、1972年に同州エルクトンに工場を開設して以来、50年以上同州で事業を展開していると説明し、同州での事業を成功に導いたビジネス環境の利点について、優れた医科・工業大学を有する研究開発に適した環境や、税制上の優遇措置や補助金といった州政府による支援制度などを挙げた。
(注)ジェトロは、米国への進出や拠点拡大時、州政府などと連携した工場設立や研究開発拠点の設立の米国立地選定支援サービスを提供しているほか、メリーランド州を含む各州政府から日本企業へのブリーフィング動画を公開している。
(小谷田浩希)
(米国)
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