2025年のサブサハラ・アフリカ地域の経済成長率は3.5%、世界銀行報告

(アフリカ)

調査部中東アフリカ課

2025年04月25日

世界銀行が4月23日に公表した「アフリカの鼓動(2025年4月版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、サブサハラ・アフリカ地域の2025年の経済成長率は3.5%、2026年から2027年にかけて4.3%との予測だ。同報告書によると、インフレ率と為替レートが落ち着いたことなどにより、経済成長は加速しているが、貿易政策の変化や紛争、気候変動による農業への影響など、不確実性が高まりを見せているという。

同地域で2024年のGDP成長率の高い国は次のとおり。

  • セネガル:7.9%
  • ベナン:7.2%
  • ニジェール:7.1%
  • ルワンダ:7.0%
  • ギニア:6.5%
  • エチオピア:6.4%
  • ウガンダ:6.2%
  • ザンビア:6.2%
  • ジンバブエ:6.0%
  • カーボベルデ:5.8%

インフレ率は低下も、実質所得は減少

サブサハラ・アフリカ地域諸国のインフレ率の中央値は、2023年に7.1%だったが、2024年には4.5%まで低下した。なお、アンゴラ、エチオピア、ガーナ、マラウイ、ナイジェリア、スーダン、ジンバブエなど14カ国では、依然としてインフレ率が2桁以上となっている。2025年から2027年の同地域のインフレ率は平均4.6%となる見込みだ。

一方で、同地域の2025年の1人当たり実質所得は、直近のピークの2015年から約2%減少するとの見込みだ。さらに、1人1⽇2.15ドル未満の貧困率は2025年に43.9%まで上昇するが、2027年には43.2%になると予測している。

米国の援助削減や関税措置も一部の国・産業に影響

同報告書では、多額の債務と米国の援助を含む世界的な援助の減少に直面している各国では、政府支出の効率性を高める必要があると指摘する。特に米国の援助停止が⻑期化した場合、HIV/AIDSやマラリアの発⽣率が高い国、国内避難⺠の多い国は⼤きな影響を受ける。

また、米国が4月に発表した関税変更の影響はまだ不明とし、2023年の同地域の対⽶輸出額は約185億ドルで、世界向けの約5%と限定的だが、一部の国や産業は影響を受ける可能性があるという。

アフリカの域内貿易拡大、経済の多角化、若者の雇用創出などのために、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)を活用する選択肢もあるとしている。

なお、国連貿易開発会議(UNCTAD)の報告書によると、米国によるアフリカの国・地域別の相互関税は高い水準の国もあり、同措置が再開すれば、アフリカ経済に打撃を与えるという(2025年4月17日記事参照)。

(井澤壌士)

(アフリカ)

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