モンゴル向け円借款が再開、開発プロジェクトへの活用協議始まる
(モンゴル、日本)
北京発
2025年02月13日
モンゴルのロブサンナムスライ・オヨーンエルデネ首相は1月10日、井川原賢駐モンゴル日本大使と会談した。
会談の冒頭、オヨーンエルデネ首相は、民主主義という普遍的価値を共有するモンゴルと日本の「人間中心」の関係と協力が、「平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ」を高いレベルで深化・発展させていると強調した。
オヨーンエルデネ首相は、モンゴル政府が実施している政策について紹介し、モンゴル政府は重要な「第三の隣国」(注1)である日本との互恵的な協力の拡大と発展を非常に重視しているとし、両国間のハイレベルの相互訪問と対話をさらに強化することに尽力すると述べた。オヨーンエルデネ首相はさらに、日本やオーストラリアなどで実施中の褐炭から水素を抽出するプロジェクトに協力することにも関心を示し、人工知能(AI)・ハイテク、グリーン開発、人材の3つの移行を加速させており、日本政府との協力を提案した。
井川原大使は、モンゴルとの間で発展している「平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ」をさらに強化し、特に経済、インフラ、防衛分野の関係を新たな内容で充実させることに前向きであると表明した。また、モンゴルと日本の特別な戦略的パートナーシップの枠内で、「防衛装備品および技術の移転に関する政府間協定」がモンゴル国会で批准された(注2)ことに感謝の意を表した。
モンゴル政府の公表によると、今回の会談で井川原大使は、日本政府がモンゴルに対する政府開発援助(ODA)の一環として、円借款の供与の再開に向けて手続きを進めることを決定した旨を発表した。チンギスハーン国際空港(2019年7月17日記事参照)の拡張と処理能力の増強における両国間のさらなる協力の可能性について意見を交換した。また、フシギーンフンディーに建設される新衛星都市プロジェクト(2021年7月16日記事参照)やウランバートルのインフラ改善工事や、その他の開発プロジェクトへの円借款利用についても詳細に検討し、再度話し合うことで合意した。
(注1)モンゴルはロシアと中国に国境を囲まれており、物理的には接していない日本や欧米などの国を、外交政策上「第三の隣国」と位置づけ、ロシア、中国と同様に重視している。
(注2)同協定は2025年1月22日に発効した。
(藤井一範)
(モンゴル、日本)
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