ハガティ米上院議員、日米の互恵的経済関係強化を提言

(米国、日本)

ニューヨーク発

2025年02月17日

米国シンクタンクのハドソン研究所は26日、「新政権下の日米関係外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と題したセミナーを開催した。ビル・ハガティ上院議員(共和党、テネシー州)が登壇し、同研究所のケネス・ワインスタイン日本部長の質問に回答する形式で、翌7日の日米首脳会談を含めたトランプ政権下の日米関係の展望を解説した。ハガティ氏は第1次トランプ政権下で駐日大使を務め、ワシントンの知日派として知られる。

写真 ハガティ氏(左)とワインスタイン氏(ジェトロ撮影)

ハガティ氏(左)とワインスタイン氏(ジェトロ撮影)

ハガティ氏は冒頭、日米首脳会談(2025年2月10日記事参照)に関して「ドナルド・トランプ大統領が就任後に行う最初の首脳会談の1つだ」(注1)、「第1次トランプ政権時に築かれた米日間の特別な絆を再構築するための重要な機会だ」と述べ、その重要性を強調した。また、「トランプ大統領は米日関係の戦略的な必要性を確実に理解しており、同盟関係を可能な限り強固なものにするべく、全力を尽くすだろう」と語った。

ハガティ氏は今後の日米関係に関し、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想(注2)を念頭に、日本と米国がエネルギー安全保障分野で戦略的機会を共有していると指摘した。具体的には、アジア地域で主要エネルギー源として現在使用される「ロシアやカタール産の液化天然ガス(LNG)に代わり、米国産のクリーンなLNGを供給することは、単なるインフラ投資以上の意味を持つ」とし、持続的なエネルギー供給によって地域の安定に寄与するとの考えを示した。また、日本の商社が持つ東南アジア市場でのLNG販売能力や、ターミナル建設技術、資金調達経験を評価しつつ、「日本がこのビジョンを米国と共有し、積極的に投資を進めれば、両国の経済・国家安全保障に大きな利益をもたらすだろう」と述べた。

さらに、トランプ政権の関税政策について、違法薬物や不法移民の流入という「米国の国家安全保障上の深刻な懸念に対処するため」(注3)、「米国と外国との非互恵的な貿易関係を見直すため」(注4)などと指摘した。貿易相手国とは「関税障壁だけでなく、非関税障壁、すなわち規制、ローカライゼーション要求、補助金といった要素にも焦点を当てながら、互恵的な関係を築くための協議が行われるだろう」との見方を示した。日本との関係を巡っては、自動車・同部品の輸入を通じた米国の対日貿易赤字が懸案事項と指摘しつつ、「(日本が)米国の取り組みを決して敵対的なものでなく、米国が公正な扱いを受けたいという気持ちの表れだと理解してくれることを願っている」「米日共通の利益となるようなかたちで、課題に対処することを期待している」と述べ、トランプ政権下での日米経済関係のさらなる発展に期待感を示した。

(注1)第2次トランプ政権発足後のホワイトハウスでの首脳会談は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(2025年2月5日記事参照)に続いて2回目。

(注2)2016年に当時の安倍晋三首相が提唱した日本の外交方針で、後に米国(2022年2月14日記事参照)、韓国(2022年11月15日記事参照)、EUなど主要国・地域の外交方針にも反映された。

(注3)例えば、2月1日付の大統領令に基づく、メキシコ、カナダ、中国に対する追加関税(2025年2月3日記事参照)に関しては、3カ国からの違法薬物と不法移民の流入に対処する理由が挙げられている。ただし、メキシコとカナダに対する追加関税は適用が延期されている(2025年2月5日記事参照)。

(注4)トランプ大統領は1月20日付の大統領覚書で、関係省庁に米国の貿易赤字の状況調査などを指示した(2025年1月22日記事参照)。

(和田啓佑)

(米国、日本)

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