日本ラオス投資促進ラウンドテーブルディスカッションを開催
(ラオス、日本)
ビエンチャン発
2025年01月30日
日本ラオス投資促進ラウンドテーブルディスカッションが1月22日、「高付加価値農業、地域的バリューチェーン、グリーンエネルギー」をテーマに、東京で開催された。このイベントは、2025年に日本とラオスの外交関係樹立70周年を迎え、ソーンサイ・シーパンドン首相らが1月21~23日に日本訪問する予定に合わせて、ジェトロ、日本アセアンセンター、ラオス計画投資省の共催で実施した。
ラオス側からは、ソーンサイ首相のほか、ペット・ポムピパック計画投資相、トンサワン・ポムビハーン外相、マライトーン・コンマシット商工相、プット・シンマラボン教育スポーツ相などの閣僚やラオス商工会議所の会員企業などが出席した。日本側からは、経済産業省の松尾剛彦審議官、主催者である日本アセアンセンターの平林国彦事務総長、ジェトロの中澤克典理事ら、日本政府関係者や企業12社が参加し、対話形式で約2時間半にわたって活発な議論が行われた。
ソーンサイ首相は冒頭のキーノートスピーチで、ラオスは水力や太陽光・風力・揚水発電などクリーンエネルギー事業へ多くの投資家が興味を示していると述べた。さらに、同国はASEAN最大の森林被覆率を誇り、カーボンクレジット売買のビジネスに強みがあるとの見解を示した。そのほかにも、農産品加工などの農業バリューチェーン開発やイノベーション、経済特区、ロジスティックスなどの分野へ日本企業の投資を期待しているとした。
また、ペット計画投資相は、投資環境整備に努めており、2024年に投資奨励法を改正したと報告した。特にクリーン農業や環境に親和的な製造業やイノベーションを優遇セクターとして指定し、法人税の免除など恩典が受けられることを説明した。さらに、工業団地や高度テクノロジーゾーンなどの開発には、より高い優遇を供与することを可能とした点を強調した。
対話セッションでは、参加企業から各社の取り組みや今後の計画について報告があった。加えて、各社からは、2024年から実施されている輸出企業に対する現地通貨への強制両替政策(2024年3月22日記事参照)の早期終了や、工場労働者不足への対応、工業用電気代金の引き下げ、電力へのグリーン証書発行の整備、ハイブリッド自動車への減税措置の導入などの課題が提起された。
これらの課題に対し、ソーンサイ首相らラオス側からは主に次のような回答があった。
- 現地通貨への強制両替については、企業が外貨を必要としていることを理解しており、本措置の適用を除外する可能性もある。計画投資省や中央銀行に検討させる。
- 労働者不足については、工業団地における所得税率の半減措置への法整備を進めていること、労働需要を労働社会福祉省に提出してサポートを受けることを提案した。
- 工業用電気代金は、国内の独立電力事業者から約6セントで購入しており、それ以下への引き下げは難しいものの、より高い税制優遇を供与できる可能性があること、また、バイオガス発電など自社で発電し自家消費する方法を提案した。
- グリーン証書については、ラオス国内のほとんどがクリーンエネルギーであることからエネルギー鉱山省が中心となり、制度を整備しているとした。
- ハイブリッド自動車への適切な税率引き下げを検討していくとした。
最後に日本アセアンセンターの平林事務総長から、今回企業側から提起された課題について、引き続きフォローアップしていくことが提案され、本イベントを締めくくった。
ラウンドテーブルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
(山田健一郎)
(ラオス、日本)
ビジネス短信 fbc80aaa7279d15e