IPEFクリーン経済協定・運用体制協定が2024年10月に発効へ

(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)

ニューヨーク発

2024年09月13日

米国国務省は9月11日、シンガポールがインド太平洋経済枠組み(IPEF)のクリーン経済協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます公正な経済協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます運用体制に関するIPEF協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの批准書を米国に寄託したと発表した。この結果、クリーン経済協定および運用体制に関するIPEF協定(以下、IPEF協定)は2024年10月11日に発効する。

IPEFは、2022年5月に発足したインド太平洋地域における経済協力関係の深化を図る枠組みで、米国や日本を含む14カ国(注1)が参加している。(1)貿易、(2)サプライチェーン、(3)クリーン経済、(4)公正な経済の4本柱に加えて、(5)協定全体の効果的な運用の5分野を対象に交渉が進められてきた。

このうち、(1)貿易の柱は現在も交渉中だが、(2)サプライチェーン協定は2024年2月に発効済みで、(3)クリーン経済協定、(4)公正な経済協定、(5)IPEF協定の3協定は、2024年6月に署名され、各国が協定締結に向けた国内手続きを進めていた(2024年6月7日記事参照)。これらの署名済みの3協定は、少なくとも5カ国が国内手続きを完了し、批准書や受諾書などを寄託国の米国に寄託してから30日後に発効する。今回のシンガポールの寄託で、クリーン経済協定とIPEF協定は発効に必要な寄託国数5カ国に達した(注2)。公正な経済協定は4カ国が寄託済みとなっている(注3)。なお、商務省のIPEF交渉担当官は同日、批准書は「比較的短期間のうちに増えるだろう」と述べた(米国通商専門誌「インサイドUSトレード」9月12日)。

クリーン経済協定は、エネルギー安全保障強化やクリーン経済移行に向けた協力のほか、気候変動対策関連事業に対する投資拡大や、特定技術分野の協力作業プログラム(CWP)実施などが規定されている。IPEF協定では、効果的な実施に向けた、各協定を横断する事項などを取り扱う閣僚級の協議体を設置することなどが規定されている(2024年3月15日記事参照)。

なお、IPEF参加国は首都ワシントンで9月13~14日に、サプライチェーン協定の下に設立されたサプライチェーン協議会および危機対応ネットワークの対面会合を初開催する予定だ(注4)。商務省は会合開催に先立つ9月10日、同協定を通じたサプライチェーン強靭(きょうじん)化に関するディスカッションイベントを開催した(2024年9月12日記事参照)。

(注1)日本、米国、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジーの14カ国。インドのみ貿易の柱に参加していない。ジェトロ特集「IPEFの動向」も参照。

(注2)日本、フィジー、マレーシア、米国、シンガポール。

(注3)フィジー、マレーシア、米国、シンガポール。

(注4)バーチャル会合は2024年7月に開催済み(2024年7月31日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)

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