豪州の第1四半期CPI上昇率、前期比で再び1%台に、NZは同0.6%

(オーストラリア、ニュージーランド)

シドニー発

2024年05月10日

オーストラリア統計局(ABS)は4月24日、2024年第1四半期(1~3月)の消費者物価指数(CPI)の上昇率が前期比で1.0%と発表した。前期の2023年第4四半期(10~12月)のCPI上昇率は1%台を下回り、約2年9カ月ぶりの低水準を記録したが(2024年2月13日記事参照)、再び1%台に達した。前年同期比では3.6%上昇だった。2022年第4四半期の7.8%をピークに、5四半期連続で下落した。

項目別にみると、教育(前期比5.9%上昇)、ヘルスケア(同2.8%)、食品・非アルコール飲料(同0.9%)、住宅(同0.7%)の伸びが大きく、CPIを押し上げる要因となった。教育やヘルスケアについては、2024年になるタイミングで料金の見直しが行われ、各費用が上昇したことによる。特に教育は、高等教育、中等教育、初等教育などの教育費が上昇したためで、2012年以来最大の伸び率となった。また、住宅価格を押し上げているのは、家賃の上昇に加えて、人件費と材料費の高騰による新築住宅の価格上昇が要因だ。家賃は過去15年間で最も早いペースで上昇を続けている。食品・非アルコール飲料については、非アルコール飲料(同3.4%)、果実・野菜(同2.5%)が特に上昇した。一方で、肉類・魚介類の価格(同0.7%減)は下落した。

ジム・チャルマーズ財務相は2024年第1四半期のインフレ率が前年同期比で3.6%上昇となったことについて、ピーク時の7.8%(2023年2月6日記事参照)からインフレ率がほぼ半減したことを指摘し、5月14日に発表する2024/2045年度の連邦政府予算案でも、インフレ対策と経済成長とのバランスを取った施策を盛り込むとした。(4月24日付プレスリリース)

一方、ニュージーランド(NZ)統計局は4月17日、2024年第1四半期のCPI上昇率が前期比0.6%と発表した。前年同期比では4.0%上昇だった。NZ統計局は、CPI上昇率(前年同期比)が2021年第2四半期(4~6月)以来11四半期ぶりの低水準となった一方で、ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)が目標とする水準の1~3%には達していないとした。

(青島春枝)

(オーストラリア、ニュージーランド)

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