S&P、政治不安を理由にペルーのソブリン債格付けを引き下げ

(ペルー)

リマ発

2024年05月02日

スタンダード・アンド・プアーズ・グローバル(S&P)は4月25日、ペルーの外貨建て長期ソブリン債格付けを現行の「BBB」から「BBB-」に下方修正すると同社ホームページで発表した。同様に、現地通貨建ての格付けについても、現行の「BBB+」から「BBB」へ格下げされたが、その見通しは「安定的」とされた。

S&Pは格下げについて、2023年にGDPがマイナス成長となった経済面での落ち込みが2025年にかけて回復する期待を抱きつつも、多党制で政策理念が一致しない議会ならびに支持基盤が脆弱(ぜいじゃく)な現政権の存在が新たな投資意欲を損ねていると指摘した。さらに、このような状況が財政再建の大きな足かせとなるとしている。

S&Pは、2022年3月にもペルーの格付けを「BBB+」から「BBB」に格下げしており(2022年10月26日記事参照)、当時のように格付け会社各社による連鎖的なマイナス査定も想定される。S&Pは、現状の政治不安は2026年の次期総選挙まで継続すると見ており、それまでの期間に現政権が投資や経済成長を推進する政策を打ち出すのは困難だろうと分析している。

元経済財政相のアロンソ・セグーラ氏は「ヘスティオン」紙の取材に対して、今回の格下げが他の格付け会社を含めてペルーの金融機関や企業の査定見直しに及ぶことに懸念を示した。一方、ホセ・アリスタ現経済財政相は、政治不安と現政権の力不足について認めつつも、フィッチ・レーティングスがペルーの安定したマクロ経済指標と規律性のある経済政策の枠組みを背景に、現評価の「BBB」を維持したことを自身のX(旧Twitter)アカウントで強調した。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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