政府調達での共同革新調達方式を発表

(中国)

北京発

2024年05月01日

中国財政部は4月24日、「政府調達での共同革新調達方式の管理に関する暫定弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した(6月1日施行)。共同革新調達とは、購買者が供給者に対して研究開発の協力を求め、リスクを共有・分担し、開発された製品を契約で合意した数量または金額分購入する方式を指す(注1)。対象となるのは、新たな技術の原理や思想、方法などを含む実質的な技術革新を伴う製品開発で、既存製品の変更や既存技術の成果の検証・試験・使用は含まれないとされている。

同調達方式を適用するのは、調達案件が国の科学技術や関連産業の発展計画に沿い、国家重大戦略の主要目標、または次のいずれかに該当する場合としている。

  1. 既存の製品や技術が市場の要求を満たすことができず、技術的ブレークスルーが必要な場合。
  2. 革新的な製品の研究開発により、機能や性能を著しく改善し、パフォーマンスを著しく向上させることができる新たなパラダイム構築や新たなソリューション提示ができる場合。
  3. 国務院財政部門が指定するその他の事情。

これらの条件を満たした場合、中央・省レベル〔計画単列市(注2)を含む〕の予算部門は共同革新調達を実施できるほか、傘下の予算単位にその権限を与えることができる(注3)。また、区を置くことができる市レベルの予算部門は省レベル主管部門の認可を得て同調達を実施できる。このほか、代理機構へ同調達を委託することもできるとしている。

なお、同調達については、国家安全や国家機密に関わるプロジェクトを除き、国内外企業の平等な参加を保障しなくてはならないとしているが、同調達の研究開発は中国内(注4)で行われる必要があると規定している。また、同調達方式で発生した知的財産権は関連法規定に基づき、原則として供給者が権利を有するが、法律に別段の定めがある場合、または研究開発契約で別段の合意がある場合を除くとしている。さらに、知的財産権が国家安全、国益、または重要な社会的・公共的利益にかかわる場合は、購買者が、あるいは購買者と供給者が共同で、同権利を有すると取り決めるものとした。

在中国日系企業などで構成する中国日本商会の「中国経済と日本企業2023年白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、政府調達での外資系企業への公平な待遇実現を主要な建議とし、調達の透明性向上や予見性の確保、調達プロセスの適正化などを求めている(2023年6月16日記事参照)。

(注1)共同革新調達方式は、発注と初回購入の2つの段階に分けられる。発注とは、購買者が研究開発の目的を提示し、供給者と共同して製品を開発し、研究開発におけるリスクを分担することを指す。初回購入とは、研究開発契約に基づき、開発に成功した革新的製品を購買者が一定数または一定量購入することを指す。

(注2)財政面で省政府を経由せず、中央政府の管理を直接受けるなど、通常の市より大きな権限を有する都市。

(注3)購買者は公告を通じて共同革新調達の供給者を募り、公開競争を通じて決定しなければならない。ただし、インフラや行政許可、代替不可能な知的財産権や専有技術等を使用する必要があるなどの制約により、限られた範囲の供給者や単独の供給者からしか調達できない場合は、公告を通じてではなく、対象者へ直接案内することもできるとしている。

(注4)香港、マカオを除く。

(亀山達也)

(中国)

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