アブダビ国営石油会社、第三者認証取得済み低炭素アンモニアを日本へ初の大量商業輸送

(アラブ首長国連邦、日本)

調査部中東アフリカ課

2024年05月16日

アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)は5月14日、炭素回収・貯留(CCS)によって製造した第三者認証取得済みの低炭素アンモニアを、日本へ初めて大量商業輸送したことを発表した。

同日付のADNOCプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、今回輸送された低炭素アンモニアは、発電用燃料を用途として三井物産に納入された。三井物産は2022年6月、ADNOCと尿素・アンモニアの製造・輸出企業ファーティグローブ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(本社:アブダビ、注)、韓国のGSエナジーを事業パートナーとする、アブダビ首長国・ルワイス工業地域のタジーズ(TA'ZIZ)開発地区でのブルーアンモニア製造プロジェクトへの参画を発表している。

また、今回の低炭素アンモニアはファーティグローブがCCSによって製造したもので、アンモニア製造から輸送までのプロセスについては、認証機関のテュフ・ズードが低炭素認証を実施した。

UAEは、2050年までの温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロの達成を目標として、カーボンニュートラルに向けた取り組みを強化している。その中で、豊富な天然ガス資源や、安価な再生可能エネルギー発電コストといった強みを生かして、ADNOCを中心に水素・アンモニアの生産・輸出にも注力している。2023年11月には「国家水素戦略2050」を公式発表し、2031年までに世界有数の水素生産国になるという目標を掲げた(2023年11月27日記事参照)。ADNOCは、日本政府や企業とも積極的に協業して、日本へのサプライチェーン形成を進めている(2022年11月11日付地域・分析レポート参照)。

(注)2019年に、オランダ化学肥料大手のOCI(本社:アムステルダム)とADNOCの合弁会社として設立された。

(久保田夏帆)

(アラブ首長国連邦、日本)

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