世界で富裕層が最も多く住む都市ランキング、米NY市が首位維持

(米国、英国、日本、シンガポール、中国)

ニューヨーク発

2024年05月09日

英国の投資コンサルティング会社ヘンリー・アンド・パートナーズが5月7日に公表した調査報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、100万ドル以上の投資可能資産を持つ富裕層が最も多い都市として、米国ニューヨーク(NY)市が前年に続いて世界首位を維持したことが明らかになった(2023年4月25日記事参照)。

NY市の富裕層が保有する資産総額は現在3兆ドルを超えており、同市には34万9,500人の「ミリオネア(投資可能資産100万ドル以上)」、744人の「センチミリオネア(同1億ドル以上)」、60人の「ビリオネア(同10億ドル以上)」が暮らしているという。富裕層の数は10年前から48%増加した。

2位には、米国のサンフランシスコ市やシリコンバレーを含むカリフォルニア州北部のベイエリアが入った。ベイエリアでは過去10年間で富裕層が82%増加し、現在では30万5,700人のミリオネア、675人のセンチミリオネア、68人のビリオネアが居住している。同州南部のロサンゼルス市ではミリオネアが21万2,100人、センチミリオネアが496人、ビリオネアが43人で、同期間に富裕層が45%増加、順位を2つ上げて6位に浮上した。

一方、10年前に世界首位(前年2位)だった東京は、過去10年間で富裕層が5%減少、現在のミリオネアは29万8,300人となり、3位に低下した。東京は他の上位都市に比べ、センチミリオネア、ビリオネアの数が少ない。大阪は29位(前年25位)だった。その他の主要都市では、シンガポールの富裕層人口が過去10年間で64%増加、順位を2つ上げて4位となり、東京に迫った。シンガポールには2023年だけで約3,400人の富裕層が移住し、24万4,800人のミリオネア、336人のセンチミリオネア、30人のビリオネアが居住している。長年にわたって世界で最も裕福な都市の1つであるロンドンは順位が5位(前年4位)に低下した。同市のミリオネアは22万7,000人、センチミリオネアは370人、ビリオネアは35人で、富裕層は過去10年間で10%減少した。

中国本土からは5都市が50位以内にランクインし、北京(ミリオネア12万5,600人)が過去10年間で富裕層が90%増加したことを受けて10位となり、初めて世界のトップ10入りを果たした。上海(同12万3,400人)、深セン(同5万300人)、杭州(同3万1,600人)、広州(2万4,500人)でも、富裕層が同期間に大幅に増加した。香港は順位を2つ下げて9位だった。

調査結果を発表したヘンリー・アンド・パートナーズのユルグ・ステフェン最高経営責任者(CEO)は「世界で最も裕福な都市の成長を牽引する主な要因は、近年の金融市場の好調なパフォーマンスだ」と指摘している。さらに、人工知能(AI)、ロボット工学、ブロックチェーン技術の急速な進歩が富の創造と蓄積の新たな機会をもたらしたとの見方を示した。同社のプライベート・クライアント・グループ長のドミニク・ボレク氏は、世界トップ10のうち7都市は、居住権や市民権と引き換えに外国直接投資を積極的に奨励する投資移住プログラムを実施している国と述べている。

写真 富裕層向けの高層アパートが建ち並ぶニューヨーク市(ジェトロ撮影)

富裕層向けの高層アパートが建ち並ぶニューヨーク市(ジェトロ撮影)

(米山洋)

(米国、英国、日本、シンガポール、中国)

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