米製鉄大手クリーブランド・クリフス、脱炭素化で最大5億7,500万ドルの連邦助成金支給の対象に

(米国)

シカゴ発

2024年04月03日

米国製鉄大手のクリーブランド・クリフス(本社:オハイオ州)は3月25日、同社のオハイオ州ミドルタウン工場とペンシルベニア州バトラー工場の脱炭素化の投資で、最大5億7,500万ドルの連邦助成金を受ける対象となったと外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

これは、インフラ投資雇用法(IIJA)とインフレ削減法(IRA)に基づいて、米国エネルギー省(DOE)がエネルギー消費の多い産業の脱炭素化と温室効果ガス(GHG)排出削減の支援を主な目的として拠出する最大60億ドルの助成金の一部(2024年3月29日記事参照)。今回助成金の支給の対象となったのは、20州以上にまたがる33のプロジェクトで、アルミニウムなどの金属(2024年4月2日記事参照)、セメント・コンクリート(2024年4月1日記事参照)、化学・精製、鉄鋼など、脱炭素化技術の効果を最大限に発揮することができる二酸化炭素(CO2)排出量の多い産業に焦点を当てている。DOEによると、米国全体ではCO2を主とするGHG排出量の3分の1は産業部門から排出されている。

クリーブランド・クリフスは、助成金を獲得した暁には、水素を燃料として利用した製鉄技術を実証すると同時に、オハイオ州の工場の既存の高炉を、水素を還元剤とする直接還元鉄(DRI)プラントと電気溶解炉(EMF)2基で置き換える計画だ。この計画によって、年間推定100万トンのGHGの排出削減につながるという。また、ペンシルベニア州の工場でも、天然ガスを燃料とする既存の再加熱炉2基を、電気再加熱炉4基に置き換える予定だ。DOEは、米国自動車産業への最大の鉄鋼サプライヤーであるクリーブランド・クリフスのこれらの計画で鋼材を脱炭素化することで、自動車産業のサプライチェーンの脱炭素化に貢献することができるとしている。

なお、中西部を本社とする企業ではクリーブランド・クリフスのほか、インディアナ州のミッチェル(セメント製造、最大5億ドル)、イリノイ州のクラフト・ハインツ(食品製造、1億7,090万ドル)、オハイオ州のO-Iガラス(食品・飲料容器用ガラス製造、1億2,500ドル)などが今回の助成金支給の対象となっている(2024年4月3日記事参照)。

(星野香織)

(米国)

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