国家統計局、成長率目標の達成に向けプラス要素の増加を指摘

(中国)

調査部中国北アジア課

2024年04月18日

中国の国家統計局は4月16日、2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前年同期比5.3%と発表した(2024年4月17日記事参照)。2023年の各四半期成長率は、それぞれ4.5%、6.3%、4.9%、5.2%と推移していたが、2024年第1四半期は前期の2023年第4四半期より0.1ポイント拡大した。国務院新聞弁公室で行われた2024年第1四半期の経済指標に関する記者発表では、記者が「主要経済指標は比較的好調」「経済回復傾向が明らか」などと言及しつつ質問する場面も見られた。

国家統計局の盛来運副局長は、第1四半期の成長率について、多くの人が予想より高いと思っているようだが、実際の状況に即したものだとし、輸出好転などに伴う工業の回復やサービス業の好調などが牽引したと指摘した。具体的には、第1四半期GDPを生産面で見た場合に(初歩的な推計としつつ)工業の成長率への寄与度が2%近くになったことや、サービス小売額が10%増と好調だったことなどを紹介した。

盛副局長は、政府の通年成長率目標(5.0%前後)の達成見通しに関しては、経済回復を引き続き後押しするプラスの要素が増加していると強調した。その要素としてまず、WTOが4月10日に2024年の世界の財貿易量を前年比2.6%増と予測したことなどに触れ、外需の回復を挙げた(2024年4月12日記事参照)。また、国内において、製造業購買担当者指数(PMI)など需要動向を示す一部指標が回復を見せている点や(2024年4月9日記事参照)、3月に打ち出された「大規模設備の更新と消費財の買い替え推進行動プランに関する通知」といった政策の後押しも期待できる点を指摘した(2024年3月22日記事参照)。さらに、休日や連休による経済効果が今後も持続的に見られるともした。新型コロナウイルス感染拡大下で抑制されていた旅行の回復継続とそれに伴う消費の増加を見越している。

なお、アジア開発銀行(ADB)は4月11日に、中国の2024年の成長率を4.8%、2025年は4.5%と見通した。また、IMFは4月16日に、中国の2024年の成長率を4.6%、2025年を4.1%と予測した。いずれの機関からも、不動産や政府債務の問題が懸念点として挙げられた。中国機関の発表としては、中国社会科学院が4月1日、中国の2024年の成長率について、経済運営が現状維持であれば4.8%、政策強化などが図られその効果を期待する楽観的なシナリオであれば5.2%、総合的に考えると5.0%前後と予測している(「上観新聞」4月1日)。

(宗金建志)

(中国)

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