習国家主席がドイツのショルツ首相と会談、自動車、GX、AIなどで協力呼びかけ
(中国、ドイツ)
北京発
2024年04月18日
中国の習近平国家主席は4月16日、北京市でドイツのオラフ・ショルツ首相と会談した(注1)。
習国家主席は2024年が中国とドイツの全方位戦略的パートナーシップ(注2)10周年であることを取りあげ、この10年間、国際情勢は大きく変化したが、両国関係は一貫して安定して発展し、各分野での協力は深く確かなものになったと評価した。
また、両国間には「根本的な利益の衝突」はなく、互いに安全保障上の脅威にはならないとの認識を示した。その上で、中国の対ドイツ政策は高度な安定性と連続性を維持しており、引き続き密接に交流し、戦略的相互信頼を増強すべきだとした。
習国家主席は、両国のサプライチェーン・産業チェーンは互いに深く組み込まれており、両国市場も相互に依存しているとした。その上で、機械製造、自動車、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタル化、人工知能(AI)などの分野に大きな協力の余地があるとした。
また、中国による電気自動車(EV)、リチウムイオンバッテリー、太陽光発電製品などの輸出は、グローバルに供給を豊富にし、インフレ圧力を緩和し、気候変動対策やGXに大きな貢献をしているとの認識を示した。
その他、保護主義の台頭を警戒すべきとし、生産能力問題は客観的、弁証的に見たうえで、協力を探るべきだとした。あわせて、中国は対外開放を基本的な国策として堅持すると同時に、ドイツが中国企業に対して公平、透明かつ開放的で非差別的なビジネス環境の提供することを望むとした。
中国側の発表では、ショルツ首相は中国との関係を強化し、各分野での2国間対話と協力を深め、教育、文化などの交流を進めることは、両国および世界にとって極めて需要であると評価した。また、ドイツは保護主義に反対し対立・対抗には賛成せず、EUの主要加盟国として、EUと中国の良好な関係のために前向きな役割を発揮したいとした。
4月16日付の「環球時報」は、ショルツ首相の今回の訪中は「世界的に重要な意義を持つ」と評価し、当初は訪中に否定的だった欧米メディアも、両国の協力を強化する姿勢をみて評価を変えたとしている。
4月17日付の「北京日報」は、ショルツ首相が中国とドイツをつなぐ鉄道の起点である重慶市を訪問したり、党派を超えた3人の大臣(注3)を同行したことなどの積極的姿勢を評して「ほぼ(友好的だった)メルケル時代に戻った」とする見方を紹介した。
(注1)ショルツ首相の就任後の訪中としては、2022年11月に続き2回目となる(2022年11月8日記事参照)。
(注2)中国とドイツは、中国・EU包括的戦略パートナーシップの枠組み内で、2004年5月にパートナーシップを締結、両国首脳の年度会談メカニズムを構築した。2010年7月には「戦略的パートナーシップの全面的推進にかかる共同コミュニケ」を発表、政府協議メカニズムの構築に同意した。2014年3月には両国の関係を全方位戦略的パートナーシップへ格上げするとともに、「中国・ドイツ協力行動綱要」を発表した。
(注3)食料・農業相、デジタル・交通相、環境・自然保護・原子力安全・消費者保護相が同行した。
(河野円洋)
(中国、ドイツ)
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