習国家主席がブリンケン米国務長官と会談、さらなる協力関係の構築提唱

(中国、米国)

北京発

2024年04月30日

中国の習近平国家主席は4月26日、米国のアントニー・ブリンケン国務長官と北京市で会談した。習国家主席は中国と米国の関係について、2024年は中米国交樹立45周年に当たり、この45年間の紆余(うよ)曲折を経てわれわれは多くの重要な啓示を与えられたとした上で、両国はライバルではなく、パートナーであるべきとした。

習国家主席は、3週間前のジョー・バイデン米大統領との電話会談(2024年4月4日記事参照)に触れつつ、変化の大きい現代において、その変化に対応するために人類は運命共同体として協力関係を構築すべきと提唱した。また、人類が直面する多くの共通課題について、世界が力を合わせて難局を切り抜ける必要がある(注1)と指摘し、これが中国の世界観であり、中米関係の基本的出発点であると強調した。

さらに、2023年11月に実施したサンフランシスコでのバイデン大統領との会談(2023年11月17日記事参照)で掲げた5つの柱(注2)は中米関係の骨組みになるとし、中国は協力を望んでおり、協力は双方向であるべきと指摘した。その上で、中国は非同盟を維持しているが、米国も一部の利害グループによる「小さなサークル(小圏子)」に関わるべきではないとした。

王毅共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)は同日、ブリンケン国務長官との会談を行った。王外相は、中米関係の現状は安定しているが、負の要素は依然として存在しており、増加し蓄積されていると指摘した。その上で、中米関係に対する中国の態度、立場、要求は一貫しており、中国は常に人類運命共同体の構築という観点から中米関係を捉え、発展させてきたとした。

王外相は中国が発展を続ける権利を奪うことはできないとした上で、米国による中国に対する経済、貿易、科学技術の抑制措置は際限がなく、不公正な競争だと指摘した。また、中国の生産能力過剰論という虚偽のストーリーを発信するのをやめ、中国企業に対する違法な制裁措置を撤回し、WTOルールに違反する301条調査や追加関税措置(2024年4月26日記事参照)をやめるべきと指摘した。

中国外交部の発表によると、ブリンケン国務長官は、米中関係は世界で最も重要な2国間関係で、この関係の管理は米中の共同責任と述べ、「引き続き1つの中国政策に沿い、台湾独立を支持しない」「中国の体制変更を求めず、中国と対立をしようとせず、中国とのデカップリングを求めず、中国の発展の抑制をしない」「米中関係の安定的な発展を促進するため、対話とコミュニケーションを強化し、中国と協力していきたい」と述べたとしている。

(注1)中国の言葉で、同じ船に乗っている時、災難に遭っても一致団結して難局を突破するという意味の「同舟共済」から一文字変えて、「同球共済」と発言した。この「球」は地球を指し、世界が協力して共通の課題を乗り越えるというメッセージとなっている。

(注2)(1)正確な認知を打ち立てる、(2)意見の違いを効果的に管理・コントロールする、(3)互恵的協力を推進する、(4)大国としての責任を負う、(5)人的・文化的交流を促進する。

(亀山達也)

(中国、米国)

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