米環境保護庁、作業用トラックなど大型車の新排ガス規制を発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年04月03日

米国環境保護庁(EPA)は3月29日、2027~2032年モデルの大型車両(HDV)からの温室効果ガス(GHG)排出量を削減するための「大型車両の温室効果ガス排出基準(フェーズ3)」の最終規則を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新規則により、10億トンのGHG排出削減と、空気の質の改善や燃費向上などで年間平均130億ドルの利益が見込まれている。

今回の最終規則は、2016年10月にEPAが発表した2019~2027年モデルを対象とするフェーズ2に続く規則で、重複する2027年モデルに関しては、フェーズ3で改定が加えられている。対象となる車両は、車両総重量が8,501~1万4,000ポンドの作業用中型車(MDV)(クラス2B、3)と、1万4,001ポンド以上のHDV(クラス4~8)。フェーズ2の対象となっていたMDVのピックアップトラックやバンについては、EPAが2024年3月20日に発表した「2027年モデル以降のLDVとMDVに対する複数の汚染物質排出基準」に含まれたため、フェーズ3の対象とはならない(2024年3月26日記事参照)。該当車両には、配送用トラック、塵芥(じんかい)車、公共事業用トラック、コンクリートミキサー、交通バス、シャトルバス、スクールバスや、トラクター、トレーラー、トラック(デイキャブおよびスリーパーキャブ、注)などが含まれる。また燃料別では、ガソリン車、ディーゼル車のほか、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、バッテリー式電気自動車(BEV)、水素燃料電池車(FCV)も該当する。今回発表された基準値は、最終規則に先駆けEPAが2023年4月に発表した規則案に比べ、多くのカテゴリーで2032年モデルの排出量が緩和されており、また該当期間の初期段階の基準値が緩やかに設定された(最終規則の基準値は添付表参照)。

一方、フェーズ2で確立した先進技術クレジットの利用可能性を制限するなど、メーカーが基準値を順守するにあたり利用できる特典の見直しを行った。また、無排出車に搭載されたバッテリーや部品に対する保証要件や、PHEVとBEVのバッテリーの健全性を図るモニターを義務付けることも加えられた。

EPAのマイケル・リーガン長官は「トラックやバスなどの大型車両の排出基準を最終決定するにあたり、EPAは最も過酷に走行する車両からの汚染を大幅に削減する。最近、最終規則が発表されたライトビークルおよび中型車両に関する規則に基づき策定されたEPAの強力で耐久性のある(今回の)基準値は、輸送部門からの排出量を大幅に削減することで気候危機の緊急性に対応するものだ」と述べた。

(注)トラック内のスペースの種類。

(大原典子)

(米国)

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