トヨタ、フレックスハイブリッド車製造拡大へ、110億レアルの追加投資を発表

(ブラジル)

サンパウロ発

2024年03月18日

トヨタ・ド・ブラジルは3月5日、サンパウロ州ソロカバ市の同社工場で2030年までに110億レアル(約3,300億円、1レアル=約30円)を投資して、バイオエタノールも利用可能なフレックス車(注1)にハイブリッドシステムを搭載した新車種を製造すると発表した。そのうち、2026年までの投資相当額としての50億レアルはすでに確保されており、2025年中の新たな小型フレックスハイブリッド車の開発などに投じられる予定と発表されている。

また、本件に関連して、トヨタ・ド・ブラジルのエバンドロ・マジオ社長は部品調達の現地化を優先する意向を表明し、「今回の投資は電動車部品のサプライチェーンの発展につながるもので、ブラジルのみならず中南米全体のモビリティ産業の脱炭素化に貢献する試みになる」と述べた。2025年以降、ハイブリッド車のエンジンをサンパウロ州ポルトフェリス市にあるトヨタの工場で製造し、2026年以降は、ソロカバ市の工場でバッテリーの組み立てが行われる予定となっている。今回のトヨタの投資計画は、連邦政府が発表した新PAC(2023年8月29日記事参照)や、新自動車産業政策(2024年1月15日記事参照)などのプログラムともその方針が共通しており、その受け入れを歓迎する政府側の声もあがっている。

トヨタ・ド・ブラジルは、2024年3月5日付のリリースの中で、サンパウロ州政府による支援の重要性を強調した。同社は商品流通サービス税(ICMS、州税)の税務クレジット(注2)を多く抱えているが、2023年から州政府との対話が開始され(2023年4月27日記事参照)、その税務クレジットは今回の投資計画のために活用できるようになった。サンパウロ州のタルシジオ・デ・フレイタス知事は、3月5日に州政府公式サイトで「州政府は(トヨタ・ド・ブラジルのために)ICMS税務クレジットの10億レアルの活用をすでに許可した」と説明した。

(注1)フレックスハイブリッド車の場合、内燃機関はガソリンとバイオエタノールとの組み合わせで走行できる。

(注2)ICMSについては、企業が輸出入を伴う生産過程や、税率が異なる他州へ製品を販売する過程で税務クレジットが累積するケースがある。ブラジル日本商工会議所の「課税に関するアンケート調査(2017年6月)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、還付・相殺すべきICMSクレジットの累積は、サンパウロ州でビジネスを展開する複数業種の日本企業の課題となっている。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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