ブラジル政策金融機関、台湾半導体大手による生産投資に2億9,000万レアル融資

(ブラジル)

サンパウロ発

2024年03月13日

ブラジルの政策金融機関である国立経済社会開発銀行(BNDES)は3月4日、台湾の半導体大手エイデータへの融資実行を発表した。エイデータは、サンパウロ州サント・アントニオ・デ・ポセ市およびアマゾナス州のマナウス・フリーゾーン(ZFM)に工場を持ち、半導体製造の最後の工程となるパッケージング工程を行っている。同社はスマートフォンやノートパソコンなどで利用されるメモリ規格DDR5、LPDDR5、uMCPなどの新製品の国内製造を開始するため、3億7,400万レアル(約112億2,000万円、1レアル=約30円)の投資計画を立てており、今回のBNDESからの融資額はその約78%に相当する2億9,000万レアルを占め、国内生産同等品のない部品などの購入のために利用される予定。

BNDESのアロイジオ・メルカダンテ総裁は、3月4日付BNDES公式サイトで「この融資によってブラジルの技術基盤が強化され、(半導体)輸入の依存度が低下すると期待できる。安全保障と技術主権の確保にとって不可欠なことだ」と述べた。また、「今回の融資はルーラ政権が導入した(国内産業支援を目指す)『新ブラジル産業プログラム』の枠内で実施される。ナノ製品やマイクロ製品、そして半導体の国外への生産、技術依存度を減らすことがこのプログラムの1つの目的。BNDESは今後、(国内の)情報通信技術の産業チェーンを強化していく」と説明した(2024年2月5日記事参照)。

また、ブラジルのエイデータのパウロ・ジュニオール社長は、同サイトで「BNDESと一緒にイノベーションを支援しながらブラジルの半導体分野の成長促進をすることはエイデータにとって極めて重要。また、半導体は今やどの国にとっても戦略的なものとなっており、近い将来、競争優位の獲得、あるいは生き残りのための大きな要因になるだろう」と強調した。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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