ネタニヤフ首相、ラファでの作戦計画承認、海上輸送による支援物資がガザ到着

(イスラエル、パレスチナ、キプロス、アラブ首長国連邦、米国、スペイン)

テルアビブ発

2024年03月18日

イスラエル首相府は317日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の閣議での冒頭発言を公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。首相は「いかなる国際的な圧力をもってしても、ハマスの殲滅(せんめつ)、全ての人質の解放、ガザが再びイスラエルの脅威とならないようにするという、戦争の全ての目標実現を止めることはできない」と述べた。

同首相は「戦争が始まって以来、われわれは軍事と外交の2つの戦線で戦ってきた」とし、「外交面ではこれまで5カ月にわたり、前例のない戦闘を可能にすることに成功したが、国際的な圧力が強まっていることは周知の事実」と指摘した。「国際社会にはこの戦争をやめさせようとする者たちがいるが、こうした圧力に屈するつもりはない」とし、「ハマスを殲滅するために、ガザ地区最南部のラファでの軍事作戦を展開する」と述べ、ラファでの作戦計画を承認したことを明らかにした。

ガザでの食料不足が深刻化する中で、ガザへ支援物資を海上輸送する最初の船が312日にキプロスのラルナカ港を出港し、15日にガザ沿岸に到着した。

ロイター(312日)によると、今回の海上輸送計画はアラブ首長国連邦(UAE)が資金面をほぼ全て負担し、米国の慈善団体「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」が実施に向けて調整し、船はスペインの慈善団体「プロアクティバ・オープン・アームズ」が提供したという。WCK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、コメや小麦粉、豆類、野菜の缶詰など約200トンの食料を輸送したとしており、キプロスではさらに数百トンの支援物資を積んだ第2便と、荷揚げ作業を迅速化するための重機を輸送する準備が進められているとしている。

画像 支援物資のガザでの荷下ろしに関するWCKのX(旧ツイッター)でのコメント画面

支援物資のガザでの荷下ろしに関するWCKのX(旧ツイッター)でのコメント画面

なお、米国のジョー・バイデン大統領は3月7日に行った一般教書演説で「食料や水、医薬品などを運ぶ大型の輸送船を受け入れるガザ地区沿岸に仮設の桟橋を設置する緊急任務を主導するよう米軍に指示する」としている(2024年3月11日記事参照)。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(イスラエル、パレスチナ、キプロス、アラブ首長国連邦、米国、スペイン)

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