世界銀行やEUもエジプトへの財政支援を発表

(エジプト、EU)

カイロ発

2024年03月21日

EUは3月17日、エジプトとの関係を戦略的・包括的パートナーシップのレベルに引き上げると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本パートナーシップのもと、政治、経済の安定、持続可能な投資と貿易、移民、安全保障、人材育成と多岐にわたる分野で協力を強化する。経済の安定については、EUはエジプトの国際収支が逼迫していることを指摘したうえで、短期的、中期的に財政支援の用意があるとした。エジプトの国家情報サービス(SIS)は3月18日、EUからの財政パッケージは74億ユーロに上ると報じた。

3月18日には世界銀行が、今後3年間でエジプトに60億ドル以上の支援を提供すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。政府への財政支援30億ドル、民間部門への支援30億ドルからなり、理事会の承認を必要とする。支援プログラムは、民間セクターの成長機会拡大、国営企業のガバナンス強化などに焦点を当てるとされるが、そのほかに気候変動や経済的弱者向け経済政策も支援する。

エジプトはロシアのウクライナ侵攻開始以降、深刻な外貨不足に悩まされている。エジプト中央銀行(CBE)によれば、2024年の対外債務の返済額は約540億ドルに上るが(2023年10月1日時点、添付資料図参照)、これは2024年2月末時点での外貨準備高(約350億ドル)を大きく上回る額だ。2024年に入り、アラブ首長国連邦(UAE)が350億ドルの投資(2024年2月17日記事参照)、IMFが80億ドルの融資(2024年3月13日記事参照)をそれぞれ発表したが、今回のEU、世界銀行の支援についてもエジプト政府は歓迎の意を示している。

(塩川裕子)

(エジプト、EU)

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