EU、農業生産者とウクライナへの支援策相次ぐ

(EU、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)

ブリュッセル発

2024年03月28日

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は3月20日、ウクライナ産農産物に対する輸入関税の一時停止措置を1年間延長する規則案(2024年2月13日記事参照)について、暫定合意に達したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。両機関による正式採択後、2025年6月5日まで適用される。延長に当たり、EUの生産者が影響を受けやすい鶏肉、卵、砂糖、オーツ麦、トウモロコシ、ひき割り穀物、蜂蜜の7品目にセーフガード措置を導入。これらの製品の輸入量が2022~2023年の平均輸入量を上回った場合、欧州委は14日以内に、関税の再徴収を発動する。欧州委が小麦やその他の穀物の輸入の監視を強化する規定も盛り込み、EUの生産者への配慮を示した。

また、欧州委は3月22日、ロシア産の穀物、油糧種子、穀物製品の輸入関税引き上げを提案(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EU理事会の採択後、即適用となる。EUを経由して第三国に輸出される産品に影響はない。同措置は、ロシア産穀物製品の輸入が急増した場合のEU市場の不安定化回避と、ウクライナ領内で生産され、違法に強奪された穀物をロシア産と偽って輸出することや、穀物輸出の収入が戦費に充てられるのを防止する。ベラルーシ産品についても同様に関税を引き上げ、同国を経由したロシア産品の輸入も阻止する。

CAP基本法の見直し承認、環境規制を一部緩和

EU理事会の農業特別委員会は3月26日、欧州委が3月15日に提案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした、共通農業政策(CAP)の一部の基本法見直しに関する規則案を承認した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。具体的には、土壌保全対策について加盟国の裁量を拡大し、輪作や休耕地の設置を「義務」から「推奨」に変更する。また、異常気象が起きた場合、加盟国の判断で一定の条件下で農業生産者の直接払い受給要件を緩和することや、農地面積が10ヘクタール以下の小規模生産者に対し、受給要件に関連した検査や罰金の免除も認めた。同規則案は、EU理事会と欧州議会の正式採択を経て施行される予定。EU理事会はCAPで掲げる環境・気候目標は維持しつつ、EUの規制による負担増加に反発する生産者の懸念に対応したと強調した。しかし、ブリュッセルでは、同委員会開催に合わせて3月26日も、生産者による抗議活動がEU機関周辺で行われた。

写真 3月26日のブリュッセルでの農業生産者による抗議活動(ジェトロ撮影)

3月26日のブリュッセルでの農業生産者による抗議活動(ジェトロ撮影)

(滝澤祥子)

(EU、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)

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