インフレ率の安定推移見通しを背景に政策金利を引き下げ

(モザンビーク)

マプト発

2024年02月22日

モザンビーク中央銀行金融政策委員会(CPMO)は2024年1月31日、政策金利をこれまでの17.25%から16.50%に0.75ポイント引き下げると発表した。政策金利は、2022年9月に15.25%から17.25%に引き上げられて以来の引き下げとなる。新しい政策金利は即日適用された。

CPMOは、政策金利引き下げに至った理由について、インフレ率の中期的な安定見通しをあげた。2023年11月の前年同月比インフレ率は5.4%、翌12月は同5.3%だったことに加え、生鮮野菜・果実、価格管理製品を除く基礎インフレ率も低下傾向にある。さらに、通貨メティカルの対ドル為替レートが安定推移し、国際市場における製品価格の下落傾向も中期的に続くことから、今後のインフレ率は1桁台で推移するとの見解を示した。

他方、今回実施された0.75ポイントの金利引き下げについて、モザンビークの経済学者のジョアオ・モスカ氏や実業家のルイス・ビラ氏らは、依然として金利は高水準にあると指摘し、民間セクターや家計からの融資ニーズが増加するようなインパクトはないとの見解を示した。

今回の金利引き下げは、IMFによる財政健全化に向けた提言も背景にある。2022年から、IMFは対モザンビーク財政支援を再開した(2022年5月20日記事参照)。2023年10月の2者間協議では、IMFがインフレ率の低下傾向の要因に、実質的に金利が高水準にとどまっている点を指摘しており、財政健全化を推進するための金融政策緩和の提言をしていた(2023年11月14日記事参照)。この提言を受け、モザンビーク中央銀行は2023年12月にIMFに宛てた書簡で、新型コロナウイルス感染拡大の影響からの経済回復が続く中、インフレ率上昇抑制のために行っていた金融引き締め政策を見直すことを示唆していた。

(松永篤)

(モザンビーク)

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