ウクライナの通貨フリブニャが対ドルレートで史上最安値に

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2024年01月05日

ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)は1月1日、同日の公定為替レートを1ドル=38.0020フリブニャと発表した。ウクライナの通貨フリブニャの対ドルレートが38フリブニャ台をつけるのは史上初となる。2023年10月3日に柔軟な管理相場制に移行後、同年11月24日には1ドル=36.0143フリブニャまでフリブニャ高が進んでいたものの、その後は安値に転じていた(2023年10月6日記事参照)。

NBUのアンドリー・ピシュニー総裁は2023年12月14日のプレスブリーフィングにおいて、2023年秋にはフリブニャ高傾向が市場を支配していたとし、「11月後半以降、このバランスが変化し、異なる傾向となった」と述べ、その要因として、季節性および外貨需要の高まりを挙げた。また、同総裁は「NBUは為替相場の安定にとって危険と考えられる為替の変動を抑制するために市場に介入している」と述べた(「RBKウクライナ」2023年12月14日)。

NBUの統計によると、NBUの外国為替市場への月ごとの為替介入において、外貨売却が外貨購入を超える状態が2021年12月から続いている。特に2022年3月からは、外貨売却額から外貨購入額を差し引いた金額が毎月10億ドルを超えており、NBUがフリブニャ安を抑制すべく積極的に動いているのがうかがえる。2023年12月の為替介入では、18カ月ぶりに外貨売却額が35億ドルを超えた。

フリブニャ安傾向の中でも、NBUは2023年12月14日、主要政策金利を16%から15%に引き下げると発表し、翌日15日から適用した。NBUはレポートの中で、為替介入のほかに預金や国債といったフリブニャ建て金融商品の魅力を維持する措置を引き続き講じることで、為替レートの安定維持につなげたいとしている(NBUウェブサイト2023年12月14日)。

(柴田哲男、坂口良平、石賀康之)

(ウクライナ)

ビジネス短信 7eb2118a159b6251