ジョコ大統領、COP28で森林破壊率減少をアピール
(インドネシア)
ジャカルタ発
2023年12月28日
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は12月2日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に出席した。
ジョコ大統領は演説で、2021年7月に発表した、2060年までのカーボンニュートラル達成に向けた努力を続けるとし(2022年7月15日付地域・分析レポート参照)、国内のそれぞれ300万ヘクタールの荒廃地と泥炭地を緑地に再生させたことに触れつつ、「その成果が表れはじめた今、インドネシアの森林破壊率は75%減少し、過去20年間で最低となった」と強調した。また、各国の首脳に対しては、インドネシアがブラジルとコンゴ民主共和国との間で、3国間の森林・生態系保全に関する協力を開始したことに触れ、「世界8位の森林面積を誇るインドネシアは、森林・土地保全の経験を他国と共有することに前向きだ」と、同分野における協力強化を呼びかけた(12月3日大統領府ウェブサイト)。
同じくCOP28に出席した同国のアリフィン・タスリフ・エネルギー・鉱物資源相は12月3日、国際水力協会(IHA)が11月に宣言したバリ声明(注)に触れ、「現在未開発の水力発電の潜在力のほとんどは発展途上国にある」と述べた。同大臣は「インドネシアの水力発電は、過去1世紀にわたり、集水域を保全しながら、安価な電力アクセスを国民に提供することに貢献してきた」としながら、「インドネシアの水力発電には95GW(ギガワット)以上を発電できる潜在力があるものの、現在は7GWの発電量にとどまっている」と課題を述べた(12月3日エネルギー・鉱物資源省リリース)。
当地非営利団体であるインドネシア再生可能エネルギー協会の代表で政府機関のアドバイザーも務めるラウフ・ウスマン氏はCOP28について、今回の主要成果は先進国による拠出が表明された80億ドルの「損失と損害」(ロス&ダメージ)基金(2023年12月8日記事参照)だとした。一方で、「基金の仕組みやインドネシアがこの基金を活用できるかについては、まだ疑問が残る」とした(「ジャカルタ・ポスト」12月20日)。
(注)2023年10月31日から11月2日にかけてバリで開催された、2023年世界水力発電会議(WHC)で発表された声明。各国の政策立案者に対して、(1)将来のエネルギー需要の計画、(2)金融および市場ベースのメカニズムを通じた持続可能な水力発電開発にインセンティブの供与、(3)透明で効率的な許認可プロセスを通じた再生可能エネルギー開発の加速、(4)水力発電の持続可能性を政府の規制や金融部門の義務に組み込むこと、という4つの提言が出された。
(大滝泰史)
(インドネシア)
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