COP28、都市化やモビリティーの脱炭素化強化を訴求

(アラブ首長国連邦、世界)

ドバイ発

2023年12月15日

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28、2023年12月1日記事参照)では、「マルチレベルアクション、都市化と建築環境、交通」をテーマと設定した12月6日に「第2回都市化と気候変動に関する閣僚会合」が開催され、「都市化と気候変動に関する共同成果声明」が作成された。この声明は「ハイアンビション・マルチレベル・パートナーシップ連合(CHAMP)」に基づくもので、都市や地方自治体の気候危機対応に向け、資金の拡大や配備を加速するための手段強化を目的としている。CHAMPは12月15日現在、71カ国の政府が承認している。

世界銀行グループは6日に「Moving Towards Zero Emissions E-mobility」をテーマにセミナーを開催。電動モビリティーへの移行は輸送の脱炭素化に不可欠として、その導入を加速させるために、とりわけ途上国に対する資金と技術的提供の必要性を訴え、世界銀行の取り組みを紹介した。さらに、ブラジルやダカール(セネガル)など、実際に電気バスを公共交通機関に導入している国・都市についても成功事例として取りあげた。

また、COP会場内外の移動手段として、アル・フッタイム・グループは370台の電気自動車(EV)、電動バスを提供したほか、EV展示を実施した。同社はドバイ道路交通局(RTA)と戦略的パートナーシップ契約を締結し、「ドバイ2050のゼロエミッション公共交通」戦略をサポート。この一環として、ドバイの主要な会議などで使用するEVとハイブリッド車を同社が配備するという。RTAは2050年までにゼロエミッションの公共バス、タクシー、スクールバスに完全移行することを目標とし、まずは2030年までに公共バスの10%について、電気や水素をエネルギーとするバスを導入する計画だ。2040年までには全てのタクシーとリムジンをEVおよび水素自動車に移行し、完全な排出ガスゼロの運行を目指す。

写真 COP28会場を走る電気自動車(ジェトロ撮影)

COP28会場を走る電気自動車(ジェトロ撮影)

さらに、モビリティー向け水素燃料供給の取り組みとしては、アブダビ国営石油会社(ADNOC)がCOP28開催直前の11月下旬、中東初の水素高速供給ステーションをアブダビ首長国のマスダールシティーに開設。トヨタ自動車とアル・フッタイム・モーターズ、BMWが同ステーションのパイロットテスト用に水素自動車を提供した。

(清水美香、久保田夏帆)

(アラブ首長国連邦、世界)

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