「輸出禁止・制限技術目録」を改定、レアアース関連技術の輸出禁止・制限項目を調整

(中国)

北京発

2023年12月28日

中国の商務部と科学技術部は12月21日、「中国輸出禁止・制限技術目録PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(商務部・科技部公告2023年第57号)を改定し公表した。同目録は2008年と2020年に改定されている。商務部の説明によると、今回の改定は、技術発展の状況や技術貿易管理のニーズの変化に応じて、法律に基づき「目録」を定期的に調整するもの。同目録は公表日から実施される。

今回の改定では、掲載された技術項目は164項目から134項目(うち輸出禁止技術は24項目、輸出制限技術は110項目)に調整された(注1)。34項目の技術項目が削除、4項目が新たに追加、37項目が改正された。主な改正点は次のとおり。

  • グリーン植物生産調整剤製造技術など6項目の輸出禁止技術項目、および医療診断機器や装置の製造技術、ターゲット特徴抽出・認識技術など28項目を削除。
  • 禁止技術項目として、ヒト用の細胞クローニングおよび遺伝子編集技術を追加。作物の雑種強勢利用技術、バルク材料の積み下ろし搬送技術、LiDARシステム(注2)の3項目を輸出制限項目として追加。
  • 37の技術項目の管理ポイント(注3)と技術パラメーターを調整。漢方薬材料の資源と生産関連など6つの輸出禁止技術項目と、商品作物の栽培と育種技術、非鉄金属冶金(やきん)技術、大型高速風洞(注4)の設計と建設技術など31の輸出制限技術項目が含まれる。

なお、今回の目録では、レアアース関連技術に関して輸出禁止項目の要件を一部具体化・細分化したほか、輸出制限項目に「レアアースの採掘、選鉱、製錬技術」を追加した(注5)。

具体的には、レアアースの精製、加工、利用技術について次の4項目の技術の輸出を禁止するとした。

  • レアアースの抽出・分離工程技術
  • 希土類金属および合金材料の製造技術
  • サマリウムコバルト、ネオジム鉄ボロン、セリウム磁性体の調製技術
  • 希土類カルシウムオキシボレートの調製技術

また、非鉄金属の冶金技術について、次の3項目のレアアース関連技術の輸出を制限するとした。

  • レアアースの採掘、選鉱、製錬技術(既に輸出禁止項目に掲載されている技術を除く)
  • レアアース抽出剤の合成工程および配合
  • 金属材料のレアアース改質・添加技術

(注1)輸出制限技術を輸出する場合、事業者は法に基づく手続きに従って許可証の取得などを行う必要がある。詳細はジェトロ調査レポート「輸出禁止・輸出制限技術目録の概要PDFファイル(522KB)」「輸出禁止・輸出制限技術目録の実務上のポイントPDFファイル(470KB)」を参照。

(注2)「Light Detection and Ranging(光による検知と測距)」の略。近赤外光や可視光など使い対象物に光を照射し、その反射光を光センサーで捉え対象物との距離や形状を測定する技術。自動運転などに利用される。

(注3)各項目で管理される技術の内容、特徴、範囲。

(注4)人工的に気流をつくって、製品に気流が及ぼす影響を調べるための装置。

(注5)商務部は11月7日、「大口商品の輸出入報告統計調査制度」の印刷発行に関する通知を発表し、レアアースを「輸出報告を行うエネルギー資源産品リスト」に追加した(2023年11月16日記事参照)。

(趙薇)

(中国)

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