習近平国家主席がベトナム共産党書記長と会談、運命共同体構築を宣言

(中国、ベトナム)

北京発

2023年12月20日

中国の習近平国家主席は12月12~13日にベトナムを訪問し、12日にベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長と会談した(注1)。会談で双方は、両国・両共産党関係の新たな位置づけと、戦略的意義を有する中国・ベトナム運命共同体構築を宣言した。

習国家主席は運命共同体構築に向けて、安全保障面では双方の国家と政治の安全を最優先すべきとした。中国はベトナム社会の安定と民族の団結を断固として支援するとし、同時にベトナムも中国が外部の干渉に反対し、国家の統一を進めることを支援すると信じるとした。

実務面では、「一帯一路」の8つの行動(注2)、デジタルエコノミー、グリーン発展などの分野での協力を歓迎するとした。また、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定による自由貿易システムの維持や、グローバルサプライチェーンの構築などを求めた。国際的な地域問題については、両国の密接な協力が必要とし、多国間協力を強化し、発展途上国の国際情勢における発言力と影響力を高めるべきだとした。海上問題については、意見の違いをコントロールする必要があるとし、双方が積極的に海上協力プロジェクトの展開を探り、共同開発の推進に努力し、海上問題によりもたらされる試練を、両国の協力を深めるチャンスにすべきだとした。

会談を受けて、中国の外交部は12月13日に「包括的戦略的協力パートナーシップのさらなる深化と引き上げ、戦略的意義を有する中国・ベトナム運命共同体構築に関する共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。声明では会談における発表内容のほか、投資については農業、インフラ、エネルギー、などの分野で協力をするとした。

貿易については、中国はベトナムからのヤシ、冷凍果物、かんきつ類、アボカド、バンレイシ、レンブ、植物性漢方薬原材料、牛豚肉・家禽(かきん)類などの市場アクセスの改善、ベトナムは中国からのチョウザメの輸入などを強化する。南シナ海問題については、意見の違いをコントロールして積極的な解決を目指し、平和と安定を維持すると強調した。ベトナムが「一つの中国」原則を支持することも再度盛り込まれた。

12月12日付の「環球時報」は、ベトナムは日米との関係を強化する一方、中国とは疎遠になっているとの見方を批判し、「中国とベトナムの各分野での協力は加速している」とし、今回の訪問は両国関係を新たな段階に引き上げるものだとした。

(注1)習国家主席とチョン書記長は、直近では2022年10月に北京市で会談を行っている(2022年11月4日記事参照)。

(注2)10月18日の第3回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムで提唱された、(1)「一帯一路」構想に沿った立体的相互連結ネットワークの構築、(2)開放型世界経済の建設支援、(3)実務的協力の展開、(4)グリーン発展の促進、(5)科学技術イノベーションの推進、(6)民間交流の支援、(7)清廉な「一帯一路」の建設、(8)「一帯一路」国際協力メカニズムの改善、の8つを指す(2023年10月24日記事参照)。

(河野円洋)

(中国、ベトナム)

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