ベルギーとドイツのエネルギー大手など、国境を越えたCO2輸送で産業の脱炭素化に貢献
(ベルギー、ドイツ)
ブリュッセル発
2023年12月14日
ベルギーのエネルギーインフラ企業フラクシーズ(Fluxys)は12月6日、ドイツのエネルギーインフラのオープン・グリッド・ヨーロッパ(OGE)、ドイツの石油ガス大手ウィンターシャルと、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)に向けたCO2輸送に関する協力協定を締結したと発表した(プレスリリース)。ドイツ南部の工業地域から排出されたCO2を、ベルギーのアントワープ港(2022年5月11日記事参照)とゲント港に現在建設中のCO2輸出ハブ(注)まで輸送し、北海海底下に貯留する予定。フラクシーズとOGEは、それぞれ国内でCO2輸送に必要なインフラを開発しながら、国境をまたぐ輸送システムの相互運用性を確保する。ウィンターシャルは、企業需要を開拓し、インフラの適切な設計を担う。
フラクシーズは2030年までに、3,000万トンのCO2輸送用インフラの確立を目指している。ドイツ南部とベルギー双方の産業の脱炭素化に貢献することを目的とした同プロジェクトは、輸送距離が短く、両国からのCO2を集約することにより、競争力のある輸送価格を実現できる可能性があるとしている。
OGEは今回の協力協定の締結を受けて、「エネルギー転換を成功させる鍵のひとつは、産業界の脱炭素化を可能とするCO2インフラ整備を通じたカーボンマネジメントだ。国境を越えたCO2輸送という選択肢は、ドイツにおける気候変動目標の達成と、産業競争力の維持に貢献する」とコメントした。
フラクシーズとOGEは同日、水素輸送に関する協力協定も更新した(プレスリリース)。両社は2028年までに、ベルギー東部でドイツ国境付近のアイナッテンを中継地に、国境をまたぐ水素輸送のための接続インフラの建設を目指している。今回更新された協定では、欧州の水素パイプライン網(欧州水素バックボーン)の一部として、相互接続を一層発展させるための追加的な対応を定めたとしている。
(注)工業地域から回収されたCO2を回収して液化し、その後船舶に積載し、北海海底などの貯留地点まで輸送するための一連の設備・施設。アントワープ港では、フラクシーズとアントワープ・ブルージュ港などがEUの「コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(CEF)」から1億4,660万ユーロの資金援助を受けて開発を進めている。ゲント港でもCEFからの資金援助を得て、フラクシーズ、ノース・シー・ポートなどが同様の施設を開発の予定。
(大中登紀子)
(ベルギー、ドイツ)
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