COP28合意文書に原子力など無炭素エネルギー活用が盛り込まれたことを歓迎

(韓国)

ソウル発

2023年12月22日

アラブ首長国連邦(UAE)で行われた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が12月13日に閉幕したことを受け(2023年12月14日記事参照)、韓国政府は同日、「地球全体の気候変動への危機対応のために、先進国と開発途上国の架け橋という役割を続けていくことを約束した」と総括した。ちなみに、COP28の韓国代表団は韓和真(ハン・ファジン)環境部長官が主席代表、金考恩(キム・ヒョウン)外交部気候変動大使が主席代表代理をそれぞれ務めるとともに、関係省庁(注)の職員や専門家などが代表団に参加した。

韓国政府は同会議の合意文書に関して、再生可能エネルギーだけでなく、原子力、クリーン水素、炭素回収・貯留(CCUS)などの無炭素・低炭素技術の活用に努める点が盛り込まれたことに歓迎の意を示した。同時に、韓国代表団の努力によってそれらが盛り込まれたとし、成果として強調した。

また、COP28会期中の12月5日には、産業通商資源部がカーボンフリーエネルギー(CFE)イニシアチブ(2023年10月26日記事参照)拡大のための円卓会議を開催し、国際社会に対して同イニシアチブを周知しつつ、カーボンフリーエネルギー活用について議論を行った。同会議には、韓国政府のほか、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のアブダラ・モクシ事務局長や、サムスン電子、ポスコ、日本製鉄といった国内外の企業が参加した。

COP28の成果について、「世界日報」(12月7日)は、カーボンフリーエネルギーイニシアチブを拡大させる動きを巡って、「再生可能エネルギーの使用が少なく、原発の割合が高い韓国にとって、費用負担も少なく有利だ。しかし、国際社会では、高レベル放射性廃棄物処理場の確保や事故耐性燃料の使用などの問題がある原発をクリーンエネルギーと見なすことはできないという意見も出ている」とし、原子力をクリーンエネルギーと見なすかどうかについて依然、議論が残されていると報じている。

(注)環境部、外交部、産業通商資源部、企画財政部、科学技術情報通信部、国土交通部、海洋水産部、農林畜産食品部、国務調整室(カーボンニュートラルグリーン成長委員会)、山林庁、気象庁、農村振興庁など。

(橋爪直輝)

(韓国)

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