日本企業、西シドニー空港都市開発の進捗状況を視察

(オーストラリア、日本)

シドニー発

2023年11月01日

都市再生機構(UR都市機構)は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ(NSW)州の西シドニー空港周辺地域の都市開発に関する現地視察会を91415日に開催した。関心を持つ日本企業16社約40人などから構成する訪問団がシドニー郊外の西シドニー新空港や周辺開発地区、近隣自治体を訪れ、現在の進捗状況や取り組みを聞くとともに、オーストラリアのデベロッパー企業などとマッチングなどを行った。

NSW州政府は、2026年に完成予定の西シドニー空港開港に伴い、同空港周辺地域に「エアロトロポリス」と呼ばれる都市開発を進めている(注1)。同開発を主導するNSW州政府の開発公社のウェスタン・パークランド・シティー公社(WPCA)の進捗説明によると、エアロトロポリス地域の開発面積は11,200ヘクタール(多摩ニュータウンの4倍)で、先行開発地区のブラッドフィールドシティーセンター(114ヘクタール)で最初の建物(WPCAの建物)の建設工事が始まり、2024年に完成する予定だ。

同地区では、先端的な製造業の研究や教育など行うAMRF(先端製造業研究施設、注2)、連邦政府のCSIRO(連邦科学産業研究機構)などの研究機関の建設が予定され、州内のイノベーション地区を目指している。上記の建設中の最初の建物には、AMRFが入居する予定だ。AMRFについては、WPCA1024日、AMRFの利用などに関心のあるビジネス機関向けにAMRF概要説明会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催した。現在、ブラッドフィールドと西シドニー空港を結ぶメトロと駅が建設中で、2026年に完成するとされている。メトロが完成すれば、新空港まで5分ほどなる。ブラッドフィールド地区以外にも、新空港から物流面のアクセスの良さを生かし、新空港の周辺にロジスティクス施設の集積地区などの開発を予定している(2019424日記事参照)。

写真 建設中のブラッドフィールドシティーセンター地区を視察する日本企業(UR都市機構提供)

建設中のブラッドフィールドシティーセンター地区を視察する日本企業(UR都市機構提供)

西シドニー空港(2026年開港予定)は、シドニーCBD(ビジネス地区)から電車で1回の乗り換えでアクセス可能で、所要時間は1時間10分程度。24時間の運営を予定しており、午後11時までの運営となっているシドニー・キングスミス国際空港と比べると、深夜・早朝便の旅客便の発着や迅速な物流が可能となる点にメリットがあるという。災害時なども対応できるよう、滑走路は広く作られている。2024年からターミナル近くのホテルの建設も開始される予定だ。

写真 建設中の西シドニー空港(ジェトロ撮影)

建設中の西シドニー空港(ジェトロ撮影)

WPCAは、西シドニー地区ブラッドフィールドのマスタープランを近く公表する。2023年内に関心を有する企業を公募する予定だ。

(注1)西シドニー・エアロトロポリス計画は、2018年5月に発表されたオーストラリア最大規模の開発計画。シドニー中心部から西に約50キロ離れたバジェリーズ・クリークで建設中の西シドニー空港(2026年完成予定)の周囲に都市を開発する(2018年6月6日記事参照)。

(注2)ステージ1は2024年に、ステージ2は2026年に完成予定。

(青島春枝)

(オーストラリア、日本)

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