スナク英首相、イスラエルへの支援表明、外相は同国を訪問

(英国、イスラエル、中東)

ロンドン発

2023年10月12日

英国のリシ・スナク首相は10月8日、パレスチナ自治区のガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃を受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談を実施。ハマスの「テロ行為」に対し英国がイスラエルと協力することを再確認し、イスラエルが必要とするあらゆる支援の提供を申し出た。翌9日には、フランス、ドイツ、イタリア、米国の4カ国の首脳とともに、イスラエルに対する支持と、ハマスによる攻撃を非難する共同声明を発表した(2023年10月10日記事参照)。

スナク首相はまた、9日にロンドンで行われたフューチャーレジリエンスフォーラムや、ロンドン北部のフィンチリーのシナゴーグでの演説で、ハマスの攻撃を「テロ行為」と表現して強く非難している。国内のユダヤ人の安全確保に向けた決意も強調した。

また、ジェームズ・クレバリー外務・英連邦・開発(FCDO)相は11日にイスラエルを訪問。アイザック・ヘルツォーク大統領と会談し、英国の支援を強調した。イスラエルのエリ・コーエン外相とともに、ハマスによる攻撃を受けた南部のオファキムも訪問した。

労働党のキア・スターマー党首も10日の同党大会の場で、ハマスによる行為を批判。「二国家解決」を同党は信じており、イスラエルには自国民を守る権利があると主張した。停戦のためにはイスラエルによるパレスチナ自治区占領の終了が必要としていた前党首のジェレミー・コービン氏とは一線を画したかたちだ。

なお、今回の攻撃を受け、北海ブレント原油価格は9日に1バレル当たり3.5ドルを超える上昇を記録したが、10日には収まりを見せており、さらなる上昇の可能性は低いとされている(「ロイター」10月10日)。

外務・英連邦・開発省の12日時点のイスラエルとパレスチナ自治区への渡航勧告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、一部地域について全ての渡航、それ以外の地域については不要な渡航を控えるよう勧告。英国政府によると、在イスラエルの英国人の数は約6万人とされている(「BBCニュース」10月10日)。

レバノンに対しても10日、イスラエル軍とイスラム武装勢力との戦闘が発生している南部(2023年10月11日記事参照)の一部地域への全ての渡航、それ以外の地域への不要な渡航を控えるよう勧告を出している。

(チャウジュリー・クリシュナ)

(英国、イスラエル、中東)

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