第6回IPEF交渉官会合、貿易、クリーン経済、公正な経済の3分野で交渉進展
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
ニューヨーク発
2023年10月26日
米国の通商代表部(USTR)と商務省は10月25日、マレーシア・クアラルンプールで10月15~24日に開催されたインド太平洋経済枠組み(IPEF)の第6回交渉官会合の閉幕を受け、共同声明を発表した。同会合には前回までと同様、米国からUSTRのサラ・エラーマン通商代表補(東南アジア・太平洋担当)兼首席交渉官と商務省のシャロン・ヤン顧問兼首席交渉官が率いる代表団が参加した。
IPEFは(1)貿易、(2)サプライチェーン、(3)クリーン経済、(4)公正な経済の4分野の協力について議論している。共同声明によると、IPEF参加国は9月に開催された第5回交渉官会合(2023年9月19日記事参照)で行った議論に基づいて、貿易、クリーン経済、公正な経済の3分野で高水準の成果を出すために交渉を進めた。5月の閣僚会合で実質妥結に至ったIPEFサプライチェーン協定(2023年5月29日記事参照)に関しては、前回の交渉官会合に続いて、次のステップを協議した。商務省は9月、IPEFサプライチェーン協定の署名前に協定文を公開している(2023年9月11日記事参照)。
共同声明によると、米国政府は今後もIPEF参加国に関与し続け、2023年中に追加の交渉官会合に参加する予定だ。米国のジーナ・レモンド商務長官は政治専門紙「ポリティコ」(10月24日)の取材に「クアラルンプールでの会合は素晴らしかった」と語り、IPEF 参加国は11月に米国サンフランシスコで開催されるAPEC首脳会議までに合意を結ぶ用意ができているとの認識を示した。
なお、今回の交渉官会合に先立ち、USTRのキャサリン・タイ代表は10月4日、IPEFの貿易分野に関するオンライン閣僚級会合を主催した。USTRの発表によると、参加国は今後の野心的な交渉スケジュールに沿うべく、貿易分野の交渉に関する共通の目標を再確認した。また、全ての参加国(注)は2023年内に大きな進展を遂げることに引き続き意欲を示した。
(注)貿易分野の交渉には、IPEFに参加する14カ国のうち、インドを除く13カ国が参加している(2022年9月15日記事参照)。
(甲斐野裕之)
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
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