アルゼンチンがBRICS銀行への加盟を申請

(アルゼンチン、インド、中国、ブラジル、ロシア、バングラデシュ、アラブ首長国連邦、エジプト、ウルグアイ)

調査部米州課

2023年10月19日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は10月17日、新開発銀行(NDB、通称:BRICS銀行)のジルマ・ルセフ総裁と会談し、正式にNDBへの加盟申請を行った。アルゼンチンは、8月24日に行われたBRICS首脳会議において、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)を含めた6カ国と共にBRICSへ新たに加盟することが発表されていた。フェルナンデス大統領は、NDBへの加盟に対して「新たな市場を開拓し、既存市場を統合し、投資の流れを促進し、輸出を増加させ、優れた新技術の開発するまたとない機会だ」と期待を寄せた。また「(NDBは)グローバルサウスのアジェンダを強化するために必要な場所だ」と、グローバルサウスの発展に果たすNDBの役割の重要性についても言及した。

NDBはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国などのBRICS諸国によって、BRICS諸国やその他の新興国のインフラや持続可能な開発プロジェクトに融資を行う目的で、2015年に設立された。NDBによると、2022年12月時点で96件のプロジェクトが認可されており、融資承認総額は328億ドルに達した。分野別では「交通インフラ」への融資が最も多く、約105億ドルを計上している。NDBには、2015年の創設時メンバーであるBRICS諸国に加えて、2021年からバングラデシュ、UAE、2023年2月からエジプトが加盟している。またウルグアイも、2021年にNDB理事会によって加盟承認がされているが、現在は「加盟候補国(Prospective Member)」となっており、国内手続きを完了させ、加盟文書を寄託すると正式に加盟することになる。

10月大統領選の結果はBRICSとの連携に影響を及ぼす恐れ

アルゼンチンでは10月22日に大統領選挙が控えており、その結果次第では現政権が進めてきたBRICSとの連携は影を潜める可能性がある。8月13日の国政選挙の予備選挙(PASO)で最多票を獲得したハビエル・ミレイ氏〔野党「自由前進(LLA)」〕、3番目に得票数が多かったパトリシア・ブルリッチ氏〔野党連合「変革のために共に(JxC)」〕はBRICSへの加盟に否定的な立場を表明している(2023年8月30日記事参照)。

(小西健友)

(アルゼンチン、インド、中国、ブラジル、ロシア、バングラデシュ、アラブ首長国連邦、エジプト、ウルグアイ)

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