イスラエルとハマスの武力衝突に関するフランスの反応

(フランス、イスラエル、パレスチナ)

パリ発

2023年10月16日

フランス外務省は10月7日、パレスチナ自治区のガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃に対して声明を出し、イスラエルとその国民に対する進行中のテロ攻撃を強く非難し、イスラエルと犠牲者との全面的な連帯を表明した。また、テロ攻撃を断固拒否し、イスラエルの安全保障へのコミットメントを再確認した。カトリーヌ・コロナ欧州・外相は同日、イスラエル、パレスチナ自治区、エジプト、ヨルダンと、翌8日はアラブ首長国連邦(UAE),サウジアラビア、カタールの外相と電話会談を行い、イスラエルが自国を防衛する権利を強調し、ヨルダン川西岸地区やレバノンなど周辺地域に紛争が広がらないように働きかけをしていると表明した。

なお、フランスは9日に英国、ドイツ、イタリア、米国の4カ国の首脳とともに、イスラエルに対する支持とハマスによる攻撃を非難する共同声明を発表しており(2023年10月10日記事参照)、その後、在留フランス人の退避に向けて複数の送還フライト運航を開始した。

エマニュエル・マクロン大統領は12日の演説で、現時点で同テロ攻撃によるフランス人死亡者は13人、人質の可能性がある行方不明者は17人に達すると発表した。イスラエルの自国を防衛する権利と同国に対する支持をあらためて表明したが、その一方で、テロ組織のハマスの解体を目指す取り組みが一般市民の命や生活を危険にさらすようなことがあってはならないと強調した。

フランスでは、イスラム教徒が人口の1割を占めており、国内では反ユダヤ主義への動きが懸念されている。公共の秩序を乱す可能性があることから、フランス政府は親パレスチナのデモを禁止したが、禁止令にもかかわらず、パリなど国内の主要都市では12日、パレスチナを支持するデモが発生した。この状況を受け、マクロン大統領は12日の演説で、全ての人を守る共和国として、また、平和の理想を守る国家として、団結する必要性を国民に訴えた。

(ピエリック・グルニエ)

(フランス、イスラエル、パレスチナ)

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