政府がカーボンフリーエネルギー(CFE)拡大主導へ計画策定
(韓国)
ソウル発
2023年10月26日
韓国政府は10月19日、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が主宰する国政懸案関係長官会議で「カーボンフリーエネルギー(CFE、注1)イニシアチブ推進計画」を発表した。同会議では、今後のCFE推進方向やカーボンフリー(CF)連合(注2)の活動計画、迅速な推進のための関係部署間の協力策について議論が行われた。
CFEイニシアチブ計画の概要は次のとおり。
- 認証体制の構築と国際標準化の推進:企業のカーボンフリー電源の使用実績に対して国際的に認証する「CF認証体制」を作り、国際標準化を推進
- CF連合の発足とCFEプログラムの開発:CFEの世界的な拡大と現実的な代案としての定着に向け、官民合同CF連合を国家間の協力主体として発足させ、国内活動の基盤を強化
- グローバルアウトリーチを通じた拡大:国際会議などを機にCFEをアジェンダ化し、CFEイニシアチブを国際的に拡大して、各国政府や企業、国際機関の参加を誘導
- 国際共同研究と途上国支援の拡大:主な協力国とのCFE分野のエネルギー国際共同研究の拡大、途上国協力プロジェクトの模索
韓国では「新政権のエネルギー政策方向」(2022年7月7日記事参照)や「第10次電力需給基本計画」(2023年1月16日記事参照)で、実現可能でバランスの取れた電源構成や原発活用、適正水準の再生可能エネルギーといった方向性を示しており、既にCFE活用の方針を策定している。
これらも踏まえ、韓国政府は、CFEイニシアチブを推進する上で最も重要なのは国際社会のコンセンサスを得て多くの企業・国際機関の参加を誘導することとし、世界的なキャンペーンへの拡大を推進するとしている。
(注1)発電過程で炭素を排出しないエネルギー源で、原子力やクリーン水素、再生可能エネルギー、炭素回収・利用・貯留(CCUS)を含む。
(注2)9月20日の国連総会での基調講演で、CFEの国際的拡大や先進国と途上国の気候格差解消に向けたオープンプラットフォームとして、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がCF連合の結成を提案した。10月現在、大韓商工会議所や韓国電力、サムスン電子、現代自動車、LG化学といった韓国の団体・企業など20機関が加入している。
(橋爪直輝)
(韓国)
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